『Affinity by CanvaとAdobe Illustratorの徹底機能比較』私の評価
これはAffinity by Canva Advent Calendar 2025の15日目に記事です。前日はRikuさん、明日はベーコンさんです。
記載の一部は『Affinity解体新書』(仮称。そもそも出るのか、出せるのかすら未定)に含まれます。
前の記事で『Affinity by CanvaとAdobe Illustratorの徹底機能比較』の販売をお知らせしましたが、その資料を作成するためにIllustratorのほぼ全機能と、それに対応しそうなAffinityの機能を調べました。対応するAffinityの機能を見つけると、同じメニューの並びに別の機能があったりします。今度はそれをIllustratorのどの機能に相当するか、ということを繰り返して仕上げていったわけです。
そしてAffinityの機能を調べる中で、「これはIllustratorにはないけれどAdobeの他の製品で対応している機能だ」というものも多くありました。そういうものも機能比較としては重要なので「対応機能なし」とはせずに「このアプリのこの機能です」と書いていったわけですね。
ですから、タイトルだけ見ると単純に2製品の比較に見えますが、実はPhotoshop、InDesign、Adobe XD、Project Neoの文字があったりします。Affinityは恐ろしいですね。まあ、それがわかる私もすごいな。
おそらくここまで調べ上げた資料は他にはないので是非とも購入いただけたらと思います。
なお、初版で2か所間違いがありました。Illustrator側でスペルチェックとスマート引用符が「なし」としていましたが、ありました。修正版を作成中ですので完了しましたら案内します。すでに購入済みの方は再ダウンロードをお願いします。
これでAffinityとAdobe製品の比較は完璧かというとさにあらず。画像編集関連、つまりPhotoshopとの比較はほぼやってません。Affinityのフィルタや効果の関係でPhotoshopのフィルタ、効果、調整レイヤーの比較はしましたが、それ以外のところは全く手がついていません。普段写真はほぼ扱わない(キャプチャ画像に文字を入れるぐらい)ので、ここは誰かにお任せです。
販売している冊子は基本的に機能の有無だけを調査し、それに対する評価は行っていません。評価というのは難しいです。使う場面や普段よく使う機能によっても異なるし「慣れ」によって評価基準がずれている可能性もあります。ですから、そこはおのおので評価していただくしかありません。
ただ、「お~まちの評価を聞きたい」という人も一定数いるかと思いますので、今回あえて書きます。余計な先入観を入れたくないという人はこの先は読まないでください。
まずは領域ごとに分けた形での評価です。特筆すべき内容がない(私がほぼ同等と考える)領域は記載を省きました。
| 機能領域 | Affinity | Illustrator | コメント |
|---|---|---|---|
| 図形作成 | シェイプを基本とし、補助的にベジエ曲線を使う | 歴史的にベジエ曲線が基本。シェイプの概念はCS6以降 | 両者の最大の違いです。初心者目線では、三角形を作りたいときにAffinityはそのものずばりのツールがあるのに対し、Illustratorでは何をしたらいいかわかりません。 iPad版やWeb版では多角形ツールのアイコン及び初期状態が三角形なのにデスクトップ版では古い仕様を引きずっていて六角形になっていることが原因です。 |
| パス編集 | ノードツールですべて操作 | ダイレクト選択ツール、アンカーポイント追加ツール、アンカーポイント削除ツールを切り替える | 最大の違いはDeleteキーでノードを削除したときの挙動です。Illustratorではパスが切れてしまいますが、Affinityではノードだけ削除されてセグメントが残ります(パスが切れません)。 ノードが両端の2点のみの線で、片方のノードを削除すると、Illustratorでは孤立点が残りますが、Affinityは線がなくなります。 |
| パスの 変形 |
ワープのみ | ワープ、エンベロープ、パンク・膨張、ラフなど。さらにワープツール~リンクルツールがある | Illustratorの方が圧倒的に豊富です。しかし、パスを直接変更(元のパスを破壊)するので、元に戻したり修正には不向きです。こういった機能はIllustratorにおいても過去の遺物です。今は非破壊編集(あとから戻したり修正できる)でなければなりません。 |
| 特殊図形 | データ結合レイアウトのみ | グラフ、ブレンド、トリムマーク、クロスと重なり、リピート○○、パス上オブジェクト | 必要かどうかは個別の判断です。 |
| パターン | ハッチング、ラスター | ラスター、ベクター | Affinityにおいてパターンはラスター画像(ビットマップ)です(図形を放り込んでもラスタライズされる)。ラスタライズされてたくない場合はデータ結合レイアウトで作成し、それをマスクします。 ハッチングはCADデータ用ですので通常は使用しません。 |
| 描画 モード |
Photoshopと同等、消去モード | Photoshopより少ない | Affinityにはラスター画像とベクター画像にほぼ同等の描画モードを指定できます。Illustratorでベクター画像に指定できる描画モードは限られています。ただ、Affinityですべての描画モードを使用することもないので、実質大差はないと考えます。 消去モードはIllustratorでは「グループの抜き」に対応します。これはAffinityの方が直感で使える機能です。 |
| 装飾 | レイヤー効果・レイヤーフィルタが中心 | アピアランスが中心 | 表を見ると差がありすぎるのですが、これは基本設計の違いなのでお互いにカバーできていません。Illustratorでアピアランス遣いはここが最大のネックかもしれないです。 |
| 色調補正 | Photoshop並 | 機能はない。「オブジェクトを再配色」等で工夫が可 | あるふぁ(仮)さんがIllustratorでトーンカーブを実現。その他プラグインを探せば何かあるかもしれません。 |
| 特別な 選択 |
選択オブジェクトの幅、高さ、線の太さを基準に、それより大きいか小さいかで選択可能など | 選択したテキストオブジェクトのフォント種類、フォントサイズ、テキストカラーと同じものを選択可能など | どちらも記載した以外に多くの条件で選択する機能がありますが、頻繁に使う機能ではないと思います。将来的にはIllustratorがAffinityの機能を取り入れるかもしれません(Affinityの方はユーザーの要望次第)。 |
| 制約 | あり | なし | Adobe XDやFigmaを使用している方にはおなじみだと思いますが、オブジェクトに親子関係を作って、子の移動範囲を制限する機能です。 |
| ガイドに変換 | なし | あり | この機能をよく使う人はIllustratorからAffinityに移行する際は慣れるまで結構つらいです。 |
| スナップ | 具体例なし | 具体例なし | それぞれ必要な機能はありますが、使い勝手が微妙に違うので、最初は戸惑う部分です。具体例を挙げられなくてすみません。 |
| 図形操作 | Illustrator欄の機能はない | 背面オブジェクトで型抜き、背面のオブジェクトを分割、グリッドに分割、パスをシェイプに変換 | 使う頻度が多くないので、IllustratorからAffinityに移行するとたまに困るかも、程度だと思いますが、使用者によります。 |
| シンボル | Illustrator欄の機能はない | シンボルスプレー、シンボル○○ツール | 私自身はなくても何の不都合もありません。 |
| 不足 フォント |
代替表示 | フォントの置換機能あり | Affinityにはフォントを一括で置き換えるという機能はありません。フォントの置換を行いたい場合は通常の検索で書式で指定します。また、見つからないフォントに対してはオリジナルのフォント情報を保持して代替フォントで表示します。(別途記事を書くかもしれません) |
| 欧文組版 | InDesignより優れる面も | 基本機能のみ | Affinityはページレイアウト機能もあるので、欧文組版に関してかなり細かい指定が可能です。 |
| 文字装飾 | 色々ありそう | ほぼない | AffinityではWordの蛍光ペン(文字の背景色)、段落の囲み罫・背景色の重ね掛けなど、Adobeにはない機能があります。文字の座布団はIllustratorではアピアランスを使いますが、Affinityでは段落背景色で可能です。まだ調べ切れていません。 |
| 日本語 組版 |
ほぼない | InDesignより劣る |
Affinityはそもそも日本語フォントの骨格である仮想ボディという概念に対応していないので、縦組の大前提である「文字の90度回転」に対応できていません。 |
| 表組 | あるが不満 | ない | Affinityで細かい表組は注意が必要です。日本語フォントに対応していないので、セル余白の設定が難しいです。 |
| 自動 トレース |
劣 | 優 | 現状Illustratorの方が上。ただし、Affinityは搭載したばかりなので、今後Canva AIとの連携で大化けする可能性があります。 |
| 復帰 | ない | ある | Affinityは文字入力が1文字ずつ履歴に残るので、履歴数が膨大になります。履歴パネルから取り消す癖をつけておいた方がよいです。 |
| 入力 | 特にCAD | 読み込み(配置)対応ファイル形式は重なる部分も多いですが、対応していない形式に注意が必要です。 Affinityの特徴としてCAD機能の取り込みを強化している点があります。 |
|
| 保存 | 独自形式のみ | 独自形式、PDF、EPS、SVG | Affinityのポリシーとして独自形式以外のファイル形式での保存を行いません(画像を開いてそのまま保存する場合を除く)。Illustratorは一般的なファイル形式で保存できますが、その結果独自形式の情報が失われるトラブルも多く発生しており、有識者からは一般的なファイル形式を「書き出し」に移行するよう求められています。 |
| 立体 | 等角投影(アイソメトリック) | 遠近グリッド、押し出しとベベル、3Dとマテリアル、モックアップ | Illustratorにはアイソメトリックがありませんので、Project Neo Beta(無料)で対応することになりますが非力なマシンでは動かないので注意です。 Affinityの3D機能が弱いですがCanvaでの対応になるかもしれないので強化は期待しないほうがよいでしょう。 |
| ベクター生成 | なし | あり | AI技術を用いたベクター画像の生成はIllustratorに分があります。いずれCanva AIでも対応するかもしれませんがCanvaの機能になるかAffinityの機能になるかは不透明です。 |
| 共同編集 | なし | あり | 不足フォントの扱いにもありますが、Affinityは共同編集やデータの受け渡しが生じることは前提にありません。 |
機能の比較としては以上ですね。実用上はこれに加えてユーザーインターフェイスの比較があります。機能と違って白黒をはっきりつけられないのですが、主なところは次のようなものです(私の感想です)。
| 機能領域 | Affinity | Illustrator |
|---|---|---|
| メニュー | 深い。サブメニューをいくつか経ないと目的のメニューにたどり着けない。 これは3つの製品を統合したことによりメニュー数が格段に増えたことによる。参考1、参考2、参考3 |
長い。スクロールしないと目的のメニューにたどり着けない。 30.0で生成AI関連をまとめたけれどまだまだ不十分。書式メニューの「フォント」など不要な項目もある。 |
| パネル | 最小化できないのがネック。ただこれは自分で必要なパネルだけを表示するスタジオを作れという啓示である。 | プロパティパネルを使う派と使わない派で論争がある。 |
| ショート カット |
3製品を統合した直後なのでまだ整理されていない。自分で変更できるが、ショートカットセットという考えがないので、 |
常に問題になっているが他のAdobe製品(特にPhotoshop)と統一する気配は微塵も感じられない。 |
| UIカラー | ライトモードを復活してくれ。 | Windowsではメニューのどれを選択しているのかわからなくなった(2024では辛うじてわかる)。 暗いUIにしてもメニューだけ明るいのはどうして? |
| 動作 | 軽い。すぐ起動するしきびきび動く。すぐ落ちるけど自動保存データで結構救われる。(個人の感想です) | 重い。起動時間がかかる。落ちにくいけど落ちた時に自動保存データが役に立たないこともある。(Adobeフォーラム等での情報から得られる感想です) |
| その他 | とにかく誤訳が多い。何とかしろ。 | 他のAdobe製品と操作感を合わせてほしいとみんな思っている。 |
おかしいな、褒めているところがない気がする(笑)
私の最終結論、例えるならこうです。
| Affinity | Illustrator |
|---|---|
| 将来を見据えた設計は素晴らしいがまだ建築中のゲストハウス | 建て増しに建て増しを重ねて迷宮と化している老舗の旅館 |
つまりは「どっちもどっち」。世の中ヨイショ記事が多い中、きちんと批評しないと発展がないと思っているので、あえて書いているところはあります(笑)
12月16日 追記
Haryさんからショートカットキーについてご指摘がありましたので修正しました。Haryさんの記事を参照。