Illustrator 2025にとどめのバグ! DTP三種の神器の現状は?
Adobe MAXがいよいよ来週です。アドビサポートもX(旧Twitter)で自動更新を切るよう案内をしました。
#AdobeMAX が来週開催🥳
— アドビ カスタマー サポート (@AdobeSupportJ) October 20, 2025
アップデートの事前準備のご案内です💁♀️
大幅なアップデート直後は、ご利用の環境によっては現在の作業が出来なくなる場合があります。
自動更新を事前にオフすることにより
お好きなタイミングでのアップデートが可能です🙌
🌟自動更新の解除手順🌟
①#AdobeCreativeCloud…
だったら最初からデフォルトでオフにしとけよっていう話なんですが、会社(および開発チーム)としては「オン」推奨なんですが、サポートとしては「オフ」推奨ってことです。サポートは会社の方針よりもユーザーの方が大事だからです(いや単に仕事が忙しくなるのが嫌だからかも)。
私もユーザーの一人として、不幸になるユーザーを減らしたいのでオフ推奨です(決してコミュニティフォーラムが忙しくなるからではないです)。
あと、このポストの中で、CCデスクトップアプリの環境設定のヘルプページをリンクしているんですが、このヘルプページが「最終更新日:2022年10月12日」となっており現状と合わない状態になっているということはご注意ください。自動更新の設定の部分は変わっていないですが、それ以外の部分で違いがあります。
いつアップデートが来るか、ということは以前の記事で書きました(Windows 10サポート終了間近。Adobeユーザーはどうすべきか)ので、ここでは省略します。いつ来てもいいように今週中に準備しておきましょう。
次にInDesign、Photoshop、Illustratorそれぞれについて現状どのような状況になっているかを書いていきます(記述量の少ない順です)。
InDesign
- 2024の最終バージョン:19.5.5
- 2025の直近バージョン:20.5
2024、2025ともに大きな問題は聞いていません。2025にはまだ大きなバグが発覚する可能性がないわけではありませんので、どちらかといえば2024の方をお勧めします。ただどちらも最新OS(Windows 11 24H2以降、macOS Tahoe 26以降)には対応していませんので、そこさえ注意しておけば問題はないと思います。
Photoshop
- 2024の最終バージョン:25.12.4
- 2025の直近バージョン:26.11
26.11ですが、(ユーザーインターフェイスの設定次第では)トーンカーブのウィンドウ内で、カーブの線が視認できない問題があります。これは「次のベータ版で修正を入れる」ということです。次のベータ版というと27.0.2(もしくは27.1)が予想されますが、そうなると2025の最終バージョンはこの問題を抱えたままということになります。
そうなると困ってしまうので、必ずしも26.11ではなく26.10以前を常用するというプランもあります。申し訳ないですが私はPhotoshopを使わないので(Photoshopのコミュニティフォーラムも見ていない)これ以上言及することはできません。25.12.4については特段悪い情報は聞いていません。
2025の使用バージョンをどれにするかについては、あと1年余裕がありますので、その間に決めてもよいでしょう。
Illustrator
- 2024の最終バージョン:28.7.10
- 2025の直近バージョン:29.8.2
これが最大の問題です。前回の記事で「まだ発見されていないバグが残っている可能性が高い」と書きましたが、大きなバグが出てきました。
まず「保存時にデータが壊れ、レイアウトが変わる」というものです。これは29.8.1で発生し、(今のところ)2025では修正される見込みのないものです。回避策(環境設定で「バックグラウンドで保存」をオフにする)がありますのでまだ救われていますが、これに遭遇した場合はデータの復旧が困難ですので致命的なバグといえるでしょう。
もうひとつ、「PDFを含んで保存するとPDF内のレイヤー構造がおかしくなる」というものです。
Illustrator 2025 (29.8.1) 以降の互換PDFのAcrobatレイヤーの数が異常。例えば、レイヤー数が2個でアートボード数が2個の場合、Acrobatレイヤーは2個にならなければいけないのに、4個生成されてしまう。
— ものかの (@monokano) October 21, 2025
下記はInDesignの投稿だけど、aiファイルがバグってる。https://t.co/H0jcpg3Bwc
これも29.8.1で発生しています。InDesignのUserVoiceへの投稿ですので、Illustratorチームにはまだ正確な情報が伝わっていない可能性があります(これを書いている途中で、ものかのさんがIllustratorのUserVoiceに投稿してくれました。感謝!)。
回避策もものかのさんが見つけてくださいました。これも「環境設定で『バックグラウンドで保存』をオフにする」です。バックグラウンド保存、バックグラウンド書き出しは本当にどうしようもないですね。
ということでこのバグは2025では修正される見込みはほぼなく、何なら2026にも引き継がれるバグです。ですから「Illustrator 2025は使用禁止」というだけではなく「回避策を講じていない場合はIllustrator 2026も当面は使用禁止」ということになります。Illustrator 2026はターンテーブルで遊んだり、その他の新機能を確認する程度にして、実務では使わないようにしましょう。
2026で修正される見込みのバグ(前回記事参照)もあるのですが、そこで挙げたコミュニティフォーラムに投稿された原因不明のバグの件もあり、リリース時点で既に(初期状態のままでは)使えないということが判明しているというのは非常に残念です。
少なくとも7月~Adobe MAXの間はバグ修正に集中せよ
PhotoshopとIllustratorがどうしてこうなったか、というのはアップデート頻度に尽きます。とにかく毎月のように機能アップデートを入れてきます。全くの新機能ならそれでも良いかもしれませんが、既存機能の修正が絡んでくるものは必ずバグにつながっています。一時期MicrosoftやAppleはOSの機能追加を頻繁に行っていましたが、現在は大型アップデートは1年に1回に落ち着いています。頻繁なアップデートはそれだけ開発部隊に負担をかけるしユーザーにも負担をかけます。いいことはありません。Adobeにもそれに倣って1年に1回でも十分です(ユーザーによっては数年に1回でも十分、という人もいるでしょう)。
それが不可能であれば、せめて7月~Adobe MAXの間は機能アップデートは入れずバグ修正に集中してほしいものです。そうすれば、致命的な不具合を残したままアップデートが終了するという問題はなくなるでしょう(そもそも2年縛りが、という話は分かったうえで書いています)。
そして、私からの提案です。Photoshopは1年間、Illustratorは4年間、メジャーアップデートを停止してください。その間、バグ修正を徹底的に行ってください。そうすると次の表のように製品名(Illustrator 2025など)の西暦下2桁とバージョン番号が一致します。特にPhotoshopはビデオ製品と同じになるので絶対おすすめです!
また、ユーザーにとってもバージョンが変わらない間は2年縛りがなくなる(Creative Cloud サポートポリシーには2年とは記載されていない。メジャーバージョンが変わらなければそれだけ延びる)ので、そうなるとお互い楽になりませんか?
| MAXリリース | Photoshop Ver. | Illustrator Ver. |
|---|---|---|
| 2025年秋(2026) | 27.0 | 30.0 |
| 2026年秋(2027) | 27.x | 30.x |
| 2027年秋(2028) | 28.0 | 30.x |
| 2028年秋(2029) | 29.0 | 30.x |
| 2029年秋(2030) | 30.0 | 30.x |
| 2030年秋(2031) | 31.0 | 31.0 |