InDesignの新バージョンインストール後は「クリーンな環境設定ファイル」を
一度書いておかなきゃなと思っていながら多分書いてない、私がInDesignをアップデート(メジャーバージョン)した後にしていることを書きます。参考になれば。
まず、アップデートですが、私の場合「以前の設定および環境設定を読み込む」のチェックをオンにします。(「以前のバージョンを削除」は当然オフ)。
この「以前の設定および環境設定を読み込む」は何をやっているかというと、1つ前のバージョンの環境設定フォルダを、新しくインストールするバージョンの環境設定フォルダにコピーしているわけですね。Windowsで17.0→18.0の場合は
コピー元
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Adobe\InDesign\Version 17.0-J\ja_JP
コピー先
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Adobe\InDesign\Version 18.0-J\ja_JP
になります。Macの場合は
/Users/[ユーザー名]/Library/Preferences/Adobe InDesign/Version 17.0-J/ja_JP
のようになると思います。
この中には環境設定ファイル(InDesign Defaults)のほか、図のようなものがあります(この図は私の環境の場合で、人によって作成されるフォルダやファイルが異なります)。
インストールが完了したら、一度InDesignを起動します。この起動のタイミングで実際にコピーが行われます。
その後InDesignを終了し「InDesign Defaults」ファイルを削除します※。このファイルを削除することで、環境設定の初期化を行うことになります。つまりここまでの手順は「以前の環境で使用していたファイルはコピーするが、環境設定自体は引き継がない」ということです。
次に、アプリケーションデフォルトを設定していきます。
インストールしたバージョンと、1つ前のバージョンの両方を立ち上げ、1つ前のバージョンの設定を見ながら、インストールしたバージョンで同じように設定していくという作業です。
ここは人によって設定内容が異なると思うので、これが正しいということはありません。一応、私が設定した項目を列挙します(抜けているものがあるかもしれません)。
- ワークスペースを自分のものに変更
- 自分の禁則処理設定、文字組設定を読み込む(段落スタイルパネルの「段落スタイルの読み込み」)
- 環境設定の各項目を以前のものに合わせる(変更箇所が多いので細かいところは省略)
- ファイルードキュメント設定でドキュメントの初期値を設定
- 編集ーカラー設定
- レイアウトーレイアウトグリッド設定でレイアウトグリッドの初期値を設定(マージン・段組の初期値が連動して変わっているか確認)
- 書式ー制御文字を表示
- オブジェクトーオブジェクトサイズの調整―フレーム調整オプション(私は左上に基準点)
- 表示ー定規を表示
- 表示ーエクストラの各設定
- 表示ーグリッドとガイドの各設定
- 編集ーキーボードショートカットを自分のものに変更
- 編集ーメニューを自分のものに変更、調整して保存
ここにないものでありがちなのは、スウォッチの読み込みですね。あとはオブジェクトスタイルの初期値を設定するとか。
設定が終了したらInDesignを2つとも終了します。
すると先ほど削除した「InDesign Defaults」ファイルが新たに作成されていることが分かります。インストール直後の「InDesign Defaults」ファイルのファイルサイズは10.1MBでしたが、新たに作成したファイルサイズは3.4MBでした。つまり、この状態の環境設定ファイルは余分な情報が入っていないクリーンな状態と言えます。つまりこのファイルは、時間がたつにつれ(使えば使うほど?)ファイルサイズが増えていくものなんです。そのせいで段々不安定になるということですね。
新たに作成した環境設定ファイルは一番いい状態のものと言えるので、これを大事に取っておきます。もちろん、このファイルだけバックアップしても、設定に必要なファイルが抜けているので、環境設定の再構築ができません。「ja_JP」フォルダごとバックアップしておきます。
やることは以上なんですが、これが何の役に立つかというと、「InDesignがおかしい」というときです。Adobeの公式文書「おかしいなと思ったら(Windows 版 InDesign CC)」「おかしいなと思ったら(Mac OS 版 InDesign CC)」に、「環境設定ファイルの再作成」の項目がありますが、この手順を実行すると初期状態に戻ってしまいます。そうなると、普段の作業環境に戻すのに時間がかかります。
ですから「クリーンで、かつ自分の作業環境が含まれている」環境設定ファイルを保存しておくというのは大事なことです。
トラブルがあった際は、まずキャッシュフォルダを削除します。先のAdobeの文書にフォルダが記載されています。その上で「InDesign Defaults」ファイルのみをバックアップから入れ替えます。
これで大体直る気がします(個人の感想です)。それで駄目ならバックアップした「ja_JP」フォルダごと入れ替えてみる、というのがいいかなと思います。これが一番手っ取り早いです。
それで駄目なら、Adobeの文書にあるその他の項目を順次確認、ということになるかと思います。ただ、私はそこまでのトラブルに見舞われたことがないので確信はないのですが。
※実はこの階層にあるファイルは、全て削除しても構いません。InDesignが起動したら再作成されます。