InDesign(Beta)をインストール。結論:InDesign 18.0通常版との同居はやめとけ
実は今月初めのことなんですが、他にやらなきゃいけないことがあって、記事にするのがだいぶ遅れました。
InDesignの初のベータ版が11月4日からインストール可能になっています。
これをWindowsにインストールするとどうなるか調べてみました。私の手持ちのMacは古くてインストールできないので、以下の検証はWindows限定の話です。ご了承ください。
テスト環境
Windows 10 Pro バージョン22H2 ビルド19045.2251
InDesign 14.0~18.0インストール済み
インストールフォルダ
インストールされるフォルダは通常版とは別のフォルダになるので、アプリケーションの共存はできます。
レジストリとopen_the_indd
私の場合真っ先に確認しないといけないのが、open_the_inddがどうなるかということですね。open_the_inddでは、インストールされているInDesignのバージョンを、レジストリ内を探して判断しています。バージョン18(2023)の場合、
\HKEY_CLASSES_ROOT\InDesign.Application.2023\CLSID\
を探しに行きます。
通常版がインストールされている状態でベータ版をインストールすると、ここがベータ版のものに置き換わってしまいます。ベータ版としての新たなレジストリは作成されていません。従ってopen_the_inddではInDesign 18.0の通常版を見つけることができません。
そのため、open_the_inddを使用してInDesign 18.0のデータを開こうとすると必ずベータ版で開きます。これを通常版に変更するには、このレジストリの値を
{D2876E66-6B9C-4366-997D-AC0404D54B21}
から
{231441AB-8969-4F6D-8CD1-B596C4047898}
に変更すればよさそうですが、実はここだけではありません。
ファイルの関連付けだったりアイコンのパスだったりも通常版からベータ版に置き換わってしまっているので、整合性をきちんととるためにはかなり多くのレジストリを書き換えなければならず、かなり大変です。
なお、ベータ版に関連付けられたレジストリを、一番安全な方法で通常版に戻すには、
- ベータ版をアンインストール
- 通常版をアンインストール
- 通常版を再度インストール
という手順になります。
open_the_inddでも上記2つのCLSIDの両方をカバーするように書き換えることで両対応できるようになる可能性はあるのですが、17.0のベータ版(日本では提供されない)や今後のバージョンでもベータ版が出るかもしれないということを考えると、大幅な設計変更を考えなくてはなりません。そのため「ベータ版には対応しない」ことにします。
結論
以上のことから、通常版とベータ版の共存はお勧めしません。ベータ版を試したい場合は業務では使わないPCにインストールして試すことをお勧めします。
open_the_inddはベータ版には対応しません。同じバージョンのベータ版と通常版がインストールされている環境では、どちらかを選んで起動させるということはできません。もしベータ版をインストールしている環境で使いたい場合はそのことを理解してお使いください。
以下はついでに調べたことなのでおまけです。実はこっちの方が役に立つかも。
アプリケーションのバージョン
アプリケーションのバージョンは[InDesignについて...]を開くと「18.9」と書かれています。
しかし、メニューバーのフラスコアイコンから細かいバージョンを知ることができます。正確なものを確認したいときはかならずここを見ましょう。
これを見ると日本では展開されなかった、以前のベータ版のバージョンが17.7だったということがわかりますね。
画像のリンク
新しくドキュメントを作り、画像を配置しようとすると次のようにクラウドドキュメント中の画像が表示されますが、これは最後に使用した状態を覚えているようで、必ずしもクラウド優先ではなさそうです。
画像とリンクパネルの表示はこちら。ローカル画像のリンクかクラウド画像のリンクかが分かるようになってます。
クラウドドキュメント
ドキュメントを保存すると次の画面が出ます。この画面は次から表示しないようにできます。
[Creative Cloud に保存]をクリックすると次の画面になります。
ここでも[コンピューター]を選択できるようになっていますね。ですから先ほどの画面は、一度見たら[次回から表示しない]にチェックをつけても問題ないですね。なお、テンプレート形式での保存はできません。
もし、ローカルのファイルをリンクしていた場合は次の警告が出ます。
確認できないのですが、「共同編集者が特定のライブラリやドキュメントにアクセスできない場合、その共同編集者には表示されません。」というのが引っ掛かります。つまりクラウド上のリンクファイルを表示させたければ、そのファイルにもアクセス権を付与する必要があるということですね。これはなかなか難しいことをおっしゃる。そこまできちんと管理できる人がいるだろうか。コミュニティフォーラムにもしばしば「クラウドドキュメントの共有ができない」という質問が来るので、個人的には結構厄介だという印象を持ってます。
ドキュメントの保存形式とバージョン
クラウドに保存すると、次のように拡張子「.inddc」が付きます。
ドキュメントのバージョンは18.9です。
このファイルはCCデスクトップアプリ(バージョン5.9.0.372)ではダウンロードできません。Webブラウザからはダウンロードできます。ダウンロードすると拡張子が「.indd」に変わります。このときのドキュメントのバージョンも同じく「18.9」で、リンク情報も.inddcのときと同じでした。
通常版で開くとどうなるか
では最後に、このファイルを通常版で開いてみます。まず17.4(2022)。
伝わりやすい、いいメッセージですね。これなら、普通は間違って開くことはなさそう。ただ[キャンセル]をデフォルトにしてほしいですがね。[更新]はInDesignのバージョンアップなので決してクリックしないように。また[ファイルを変換]はAdobeのクラウド上のInDesign Serverで開いてIDMLを保存するものなので、これも基本使いません(そもそも変換するためのInDesign Server 18.0ってまだ出ていないような、って検索したら11月16日に出てた)。
ではInDesign 18.0通常版で開いてみましょう。
実はエラーもなく開けてしまいます。ただしクラウドのリンクが?ですね。パスは保持しているようですが。
ドキュメントのバージョンも保持していますので、マイナーバージョンが一致していなくても(通常版で作成したドキュメントのバージョンは18.0)開くことができる仕組みになっているようです。
もうしばらくインストールしたままの状態にしておくので、知りたいことがあれば、コメント等でお知らせください。