自動行送りなんて使うな(1)

私のサイトはスクリプトが中心で、あんまり組版のことを語らないのは、スクリプトには正解があるけれど、「よい組版」にはこれぞという正解がないので、しばしば議論の種となるからである。
議論の種ということはすなわち炎上の火種ということにもなるので、もともと議論は苦手だし、なるべく面倒なことを避けたい思いから、今までテクニカルな話題に終始していたという、いってみれば卑怯者である。

でもそろそWebを通じたコミュニケーションにも慣れてきたので、たまには組版の美とか、そういった方向のことも書いてみようかな。works014さんほどではないにしても、私20年近く組版に携わってきて、自分なりによい組版を目指してきたつもり。でも見解の相違というものは必ずあるもので、そこは大きな気持ちで受け止めたいなあ。

ということで、初回は「自動行送りは使うな」というタイトルで、行間について語ってみたいと思います。

InDesign CS3 のヘルプでは欧文組版については

初期設定である「自動」行送りでは、行送りが文字サイズの 120 %に設定されます

アジア言語のテキストでの行送りについは

デフォルトでは「自動」が選択されています。「自動行送り」が設定されている場合、文字パネルの「行送り」では、括弧内に行送り値が表示されます。この「自動」の値は、テキストフレーム内のテキストとフレームグリッド内のテキストでは異なります。自動行送りの値は、段落パネルの「ジャスティフィケーション」で設定します。InDesignのテキストフレームにあるテキストで使用される自動行送りのデフォルト設定値は、設定されているフォントサイズの 175%になります。フレームグリッドにあるテキストの場合は 100 %であり、グリッド揃えでグリッド内のテキスト行を拡張することができます。

とあります。つまり日本語の初期設定で175%な訳ですが、これが何の値なのか、つまり標準値なのか、最適値なのか、適当につけたのかは明記されていません(と思う)。おそらく、最も多く使われる値なのではないかと思います。

だからといってこれが最適な値なのか、というと、私は絶対にそうではない。単なる目安であって最適値とはかけ離れている、と思います。だから「自動行送りは使うな」と。ではどうすればよいのかは次回へ持ち越しとなります。思わせぶりで申し訳ありません。思ったより前段が長くなってしまったので。