InDesign 2020 で既存データを触るときに注意して欲しいこと

今度のバージョン(15.0)は個人的にはお勧めです。まあ、気に入らないところもあるんですが、前のバージョン(14.0)も含めて、かなりのバグを修正しました。修正内容は次のページにあります。英文です(日本語訳がまだ出ていないのですが、出てもすぐには理解できる日本語ではないので(^^;

https://helpx.adobe.com/indesign/kb/fixed-issues.html

どの会社でしたかね、InDesignにPDFを貼って事故ったのでPDF貼りこみを禁止していると聞きました。見開きにまたがるテキストフレームがあるページをPDFにしてInDesignに貼るとテキストが飛び出すバグは2019(14.0)で修正されています。多分このことだと思うんですが、知識のアップデートは必要です。折角の便利な機能なのに過去のバグに引きずられて使わないのは勿体ないですからね。


さて、新しいバージョンですが、例年のごとく、印刷会社においてはすぐに導入するのは控えた方がよいです。私もプレリリースで色々テストしましたが、出力環境は持っていないのでRIP演算でどんな問題が発生するかは把握できません。そこはスクリーングラフィックソリューションズさんがやってくれると思うので、結果が出るまで待ちましょう。毎年page展に間に合うようにテストしてくれます。

私はそれ以外のところで、過去データを使用する際の問題点を見つけていますので、まずはそのところで気をつけてくださいね。


角丸が円弧で描画されるようになった

InDesignユーザーの長年の悩みがついに解決しました。上が2019(14.0、下が2020(15.0)です。

これは2019(14.0)で作成したものをそのまま2020(15.0)で開いただけの状態です。つまり、開くだけで形が変わってしまいます。警告は出ません。もしかすると検版ソフトで警告が出るかもしれませんが、大きな問題になることは考えにくいかなあと思います。

この仕様変更により拙スクリプトの出番もだいぶ減るのかな。半円や90°の扇形を作るときにでも使ってください。

なお、この角丸の件はオブジェクトの角だけではなく、段落の囲み罫、段落の背景色でも変更が行われています。むしろ危ないのはこっちの方かも知れません。


縦中横に下線がつくようになった

これもInDesignユーザーの長年の悩みでしたが、一応形になりました。一応というのは、波線で途中で色を変えたりすると波の形が変わる場合があります。多分技術的に限界に近いので、これ以上の要望は難しいかなと思います。

ただ問題なのは、過去のデータで縦中横に下線を設定してあるデータです。14.0以前でも下線の設定自体はできてるんですね。表示されないだけで。表示されないから、別途線を描き加えたりしてたと思うんですが、そんなデータが危ないです。

これも14.0で作成したデータを15.0で開いただけです。14.0以前では表示されなかった下線が15.0で表示されるようになります。あんまりないとは思いますが、今まで見えなかったものが見えるわけですから、注意しておいた方がいいですね。


段落のインデント(字下げ)が、テキストの回り込みを設定したオブジェクトに対しても有効になった

これも非常に嬉しい機能です。今までテキストの回り込みがある箇所にインデントされた文章が来た場合、そこだけインデントを修正しなければならなかったのが解消されました。

14.0以前

15.0の場合

しかし、ここには問題があります。図を見て分かるように、インデントは回り込みの境界から開始するように仕様変更されたんですが、タブ位置の開始点は変更されていません。ですから箇条書きや自動番号の場合に、タブ位置を指定する必要が出てきます。タブ位置も同様に開始点を回り込みの境界にしなければ解決とは言えません。

開発チームでもまだ完全解決ではないと思っているようですが、本当に正しく理解しているか疑問です。これは「修正された問題(先のリンク)」に

Note: The fix only works only when left or right indentation is applied with rectangular or square objects.

という注意書きがあることでわかるんですが、これが的外れなんです。左インデントと1行目のインデントには対応してますが、右インデントには対応してません。四角形のみ対応とありますが、形状によって問題があるわけではありません。詳しくはNDAがあるので話せないんですが、どうしてタブ位置の問題だと理解してくれないんだ。

さて、もう一つ問題があります。

以前のデータを開くときの問題です。これは14.0で作成したもの。

テキストの回り込みがあるところのインデントが実質無効になってます。これを15.0で開くと

変わりません。別に同じ画像を使っているわけではないです。開いた時点では変わらないんです。

そして、前後の文字を修正しても変わりません。

そして、回り込みにかかっている部分を変更すると

新しいインデントの仕様が反映されて変わっちゃう。そんなトラップです。

このケースは本当に要注意です。


段落の囲み罫・背景色の角オプションの仕様変更

多分こんなことはしないと思うんですが、段落の囲み罫・背景色で角オプションを文字の高さよりも大きく指定していた場合に問題があります。文字の高さよりも大きい数値を指定すると、当然1行しかない行ではそれを正しく描画できないわけですが、そのときの次善の処理が変更されました。左が14.0、右が15.0です。

まあ、誰も使わんでしょうね。


最後に私事ですが、そんなこんなで文句ばっかり言ってましたら「製品づくりに貢献した」ということでクレジットに載せていただきました。

でもなんでIllustratorなんだろう。まあ、昨年はツールパネルの件でいろいろ発信したり、この間も23.1のリリースノートが更新されなくて散々Twitterで発信したりもしましたが、あんまりIllustrator製品自体には貢献してない気もするのですが。でも記念になるので受けることにしました。これも、仕事もせず製品テストばっかりやっているのを許してくれる妻のおかげです。

でもそろそろ定期的な収入がないと辛いので、来年はもうこんなことができないかもしれません。定期のお仕事、もしくは雇ってやるという方がいらっしゃいましたらご一報お待ちしております。


11月13日 追記

段落のインデント(字下げ)が、テキストの回り込みを設定したオブジェクトに対しても有効になった」件でその後動きがありました。修正の引き金となったUserVoiceの投稿が2つあるんですが(こちらこちら、どちらもステータスがFIXED(修正済み)だったのがUNDER REVIEW(レビュー中)に変更されました。問題を正しく認識し、あらためて解決に向かっていくようです。