ボックス掛とボックス囲:「花子」の個人向け単体販売の終了とな

2023年01月25日

紙面や帳票、ウィンドウなどのレイアウト編集画面において、複数の図形やテキストボックスを選択する際、カーソルを斜めにドラッグして矩形の範囲を指定することがあります。Adobeのソフトでは「選択範囲」、Affinity Suiteでは「選択マーキー」などと呼びます。

このとき

  • ドラッグで指定される矩形範囲内に、一部でもかかっている図形を選択対象とする(仕A)
  • ドラッグで指定される矩形範囲内に、全てが含まれる図形を選択対象とする(仕B)

の2種類の仕様があります。InDesignやIllustratorではA、Microsoft Officeの図形描画ではBとなっており、これを変更することができません。その点、Affinity Suiteは環境設定の「選択マーキーと交差するオブジェクトを選択する」のチェックをオンにすることでA、オフにすることでB、ということで使い分けることができます(デフォルトはオフのB)。

DTPにかかわる直前は桐を触っていたので、Bに慣れておりAには最初違和感を抱きました。今InDesignがメインでたまAccessを使うのですが、Accessの方がちょっと使いづらくなってます。

の2つの仕様、おそらく業界でどちらが優勢かがあるような気がするのですが、さすがにすべてを調べることはできません。そこでとりあえず、極めてオフィスアプリケーションに近く、また最古参であると思われるグラフィックソフト「花子」ではどうだっけ(大昔に触ったことはある)ということで調べようとしたわけです。


そこでジャストシステムのサイトに行って花子のページを開いたんですが、

2022』は、2023年2月9日(木)午10時に販売終了いたします。

  • 次バージョンの単体発売はございません。
  • 一太2023 プラチナ」に『花Personal』が搭載されていますので、「花子」をご希望の方は、「一太2023 プラチナ」をご購入ください。

ということで単体発売の終了が案内されていたというわけです。

もっともこれは「個人向け」であって、企業向けの「Pro 5 / 花Police 7」は販売してますよ、ということのようです。この2つの「花子」、どう違うのかはわかりません(製品比較のページが見つからなかった)。

話はそれますが、いろいろ探っているうちに「当社商品の搭載フォント ご使用条件」というページを見つけました。一太郎はバージョンごとにバンドルされているフォントが違うんですね。面倒な話で。まあ、このページがバンドルフォント名の名寄せになっているので、外部から色んなデータが入ってくる環境の人だとブックマークしておいた方がよいかもです。


さて話を戻して、花子での選択の仕様ですが、答えは次のヘルプにありました。

https://support.justsystems.com/faq/1032/app/servlet/qadoc?QID=040085#a01

A=ボックス掛

B=ボックス囲

名称が素晴らしい。多分「ぼっくすがけ」と「ぼっくすかこみ」と読むんでしょう。他のソフトでも名称をきちんとつけてくれたら「仕A」「仕B」などと呼ばなくて済むのに。

ただこのヘルプ、古いバージョンでの解説だし、デフォルトがどれになっているのか分からないので、体験版で確認してみることにしました。するとデフォルトは「ボックス掛」つまり仕様Aになっており、更に選択方法の切り替えは画面下部のボタンをクリックするだけという。(これは、わざわざダイアログを開かなくてよいというメリットがある反面、気づかずに誤ってクリックしてしまうというデメリットもあります)

また花子ではシアー(Skew、歪み)のことを「せん断」(剪断)と呼んでいたりするなど、用語については他のアプリケーションに取り入れてもよいものが他にもあるかもしれません。


久しぶりに花子を少し触ってみましたが、同じベクターグラフィックソフトと言っても「図を作る」機能に特化しており、絵を描くなどということにはまるで向いていないアプリケーションなので、これ以上使うことはないでしょう。

PDFのマニュアルがあるんですが、作成アプリケーションInDesign 17.0(2022)でした。それもなあ、という感じなんですけどね。


2023年12月6日 追記

Illustratorにも「ボックス囲」機能が付くようです。こちらの記事を見てください。