誰も言及してくれないAffinityの新機能「マーキー選択範囲の動作」

これはAffinity by Canva Advent Calendar 2025の11日目に記事です。前日はうみのさちさん、明日はタダミキさんです。


Affinityがバージョン3(by Canva)になって、いくつか新機能が追加されているんですが、その中で(私の観測範囲内では)誰も言及していない新機能があります。それが[設定]の中の[ツール]→[マーキー選択範囲の動作]です。

バージョン2.6.5までは、この項目の選択肢は2つで、チェックボックスでオン/オフするものでした。

マーキー選択というのは、オブジェクトを選択する際に、マウスでドラッグすることです。従来、その挙動には2種類ありました。以前記事にしていますが、改めて書きます。

  • ドラッグで指定される矩形範囲内に、一部でもかかっている図形を選択対象とする(仕様A)
  • ドラッグで指定される矩形範囲内に、全てが含まれる図形を選択対象とする(仕様B)

この記事を書いた時点では次のような状態でした。

InDesignやIllustratorでは仕様A、Microsoft Officeの図形描画では仕様Bとなっており、これを変更することができません。その点、Affinity Suiteは環境設定の「選択マーキーと交差するオブジェクトを選択する」のチェックをオンにすることで仕様A、オフにすることで仕様B、ということで使い分けることができます(デフォルトはオフの仕様B)。

しかし2024年2月に、Illustratorのバージョン28.3で公式に仕様Bに対応しました。それ以前のバージョンでも、あるふぁ(仮)さんの作った「内側選択ツール」プラグインがあるので知ってる人は使えてたんですけどね。

「仕様A」「仕様B」だと大変分かりにくいのですが、ここはアプリケーションによって名称が異なるのです。

アプリケーション 仕様A 仕様B
AutoCAD 交差選択 窓選択
花子 ボックス掛 ボックス囲
Illustrator - 閉鎖モード
Affinity V3 タッチ 囲い込み

バージョン2.6.5までのAffinityはチェックボックスのオン/オフなので特定の名称はありません。また、片方にしか対応していないアプリケーション(InDesignやMicrosoft Officeなど)は当然ながら名称はありません。

 

以上がこれまでの経緯なんですが、Affinityがバージョン3となって、挙動がさらに2種類に増えたということになります。

新しく追加された挙動はAutoCADを取り入れたものです。左からドラッグして囲んだ場合と、右からドラッグして囲んだ場合で挙動を変更するということになります。(残念ながら新機能の説明はこれだけです。使いこなせればもっとメリット等を強く発信することができるかもしれませんが、力不足でした)

この新しい挙動はIllustratorに対しても要望が上がっていたのですが、仕様Bと一緒に要望を出しており、その結果仕様Bだけが実装されて終了しています。

Affinityはここ数年AutoCADの取り込みに意欲的で、そのうちのひとつとしてこの挙動を実装したものだと思われます。(他にもAutoCAD互換の機能があるのですが、AutoCADは持っていないので詳しく解説できないのが悔しいです)


そういえば、12月4日にAffinityの3.0.2アップデートが来ました。2.6.5までは修正内容は(閉鎖された)フォーラムでアナウンスされていました。3.0.1はまずDiscordで、次にリリースノートページでアナウンスされました。3.0.2はリリースノートのみでのアナウンスということで、今後はリリースノートに追記されていくのでしょう。なお、日本語のリリースノートは翻訳の関係で遅れるので、早く知りたい方は英語版(今回はイギリス英語とアメリカ英語で同時でした)を見にいきましょう。

なお、リリースノートに記載のない修正を見つけました。Windows版限定だと思いますが、3.0、3.0.1ではハイライト部分はOSのアクセントカラーを使用していました。アクセントカラーはユーザーが自由に変更できるので、一部のユーザーからはチェック項目が有効なのか無効なのかわからないといった苦情が出ていました。3.0.2ではそこが青に変更されています。

この調子でライトモードも復活してほしいものです。