InDesign、IllustratorのPDF書き出しで透明効果が失われてしまう問題
『Affinity制作入門』の編集中にInDesignのバグが発覚しました。「Affinityじゃないんかい」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、Affinityのバグも4つ発見・報告しています。ただ、報告したバグのうち2件が執筆中に修正され、1件は仕様だといわれ、残り1件は本の中で書いています。すぐにおかしいと気づく挙動のバグなので、特に広く知ってもらう必要はないだろうと思います。知りたい方は本を買ってください。
それはさておき、InDesignのバグの方は深刻で、校正で気づかなければ即、印刷事故になるものです。そして修正に時間がかかるだろうと思われる内容なので、ブログで公開します。もちろん開発チームには伝えてあります。
バグの内容はこのようなものです。
特定の透明効果が含まれているPDFファイルをInDesignに配置し、PDFに書き出すと透明効果が失われる
サンプルとしてこの現象が発現するPDFファイル(クリックしてダウンロード)を置いておきますので、それぞれで確認してください。これは青空の画像にグラデーションを掛けて上部を透明にしたものです(50mm×50mm)。これをInDesignに配置するとこうなります。
ドキュメント上では下から上に向かって透明になっています。これはPDFをAcrobat等で開いた時と同じ状態です。ところがリンクパネルのサムネイル画像を見ますと、グラデーションがない状態です。これはリンクパネルのパネルオプションで行サイズを「行(大)」にしているため違っていることに気づくのですが、そもそもリンク画像のサムネイルは「どの画像を選択しているか判断する」ぐらいの見方しかしないので気づくのは難しいです。
そして透明を有効にしたPDF(つまりPDF/X-1a以外)に書き出すとこうなります。
はい、事故です。『Affinity制作入門』では運よく校正段階で見つけましたが、見つけられなかったら終わりです。
事故を誘発するPDFですが、Affinityで作っています。作り方は簡単。画像を配置して、透明度ツールでグラデーションを掛けて透明を有効にしたPDFを書き出すだけです(PDF/X-1aは透明を分割するので対象外です)。InDesignをお使いの皆さんもAffinityは一応何かのためにインストールだけはしているでしょうから、すぐに作れます。作り方がわからなければ『Affinity制作入門』に書いてあります(まだ出てない)。
今のところ、Affinityで画像+透明という組み合わせで問題を確認しています。図形の場合はサムネイル表示がおかしいものの、書き出されたPDFは問題ありません。
ただ、Affinity以外でもこういったPDFファイルを作成することは可能です。たまたまAffinityが手元にあって、再現が容易であったためにAffinityを使っただけです。Acrobatで問題なく表示できているので、やはりInDesignでの処理に問題があると考えています。
Illustratorだとまた挙動が異なります。今度はおふざけで作ったPDF(クリックしてダウンロード)ですが、Illustrator 30.6に配置(リンク)したときはこうなります。
ここで、コントロールバーの[埋め込み]ボタンをクリックするとこうなります。
実は「Who am I?」という文字は写真の下にあって、写真に透明のグラデーションを掛けて背景の文字が透けて見えるようにしています。バグによって透明が無効にされて正体がばれるというお遊びです。
それはさておき、Illustratorで透明を有効にしたPDF形式で保存(書き出し)したときの挙動がまたおかしいので、注意が必要です。リンクのサムネイル画像と逆なのです。(なお、このテストはWindows版30.6でしか行ってません)
| リンクで配置 | 埋め込みで配置 | |
|---|---|---|
| リンクパネルのサムネイル | 正常(透明が有効) | 透明が無効になり表示が変 |
| PDF保存(書き出し)結果 | 透明が無効になり事故になる | 正常(透明が有効) |
こうなると、私だけのテストでは心許なくて、Macや他のバージョンでの確認も必要になってきます。
ということで、詳細はまだ詰めてはいないのですが印刷事故につながる危険なバグということで案内させていただきました。



