Affinityバージョン3.0.1が出ました。まずは誤訳の多さを改善せよ
本題の先に、前の記事で
ちょっと今確認できないのですが、Affinityのサイトのどこか(Canvaだったかもしれない)に「ユーザーとの親和性」の文言を見かけた気がします(探しても見つからない)。だったらすり替えられた感じでちょっと嫌なんですが(証拠がないのでなんとも)誰か見つけたら教えてください。
と書きましたが、見つけました。「お問い合わせ」ページです。
ここに「教育への親和性」「エンタープライズ向け親和性」ってありますよね。多分これを見て「ユーザーとの親和性」って思ったんだと思います。
そして、これが私の勘違いだとわかりました。というのは、このページの一番下に言語を切り替えるプルダウンがあります。そこから「English (US)」を選ぶとこうなります。
誤訳じゃねーかっ!!!!!
誤訳というと、Xでの私の次のポストも11月9日0時現在、264リポスト、1123いいねを頂いていて広まっています。
Affinityで「レジストレーションカラー」を探している人、場所はここです!
— お~まち@自動組版&InDesign&Affinity (@CS5_omachi) November 6, 2025
みんな揃って「そんなん分かるか! ボケ」 https://t.co/AIoyDA7lZt
「レジストレーションカラー」は印刷用語として一般的なので、この用語を正しく翻訳できていないということは、DTPアプリケーションとしては致命的です(質問しているのは印刷会社の人)。これに比べれば前の記事の「塗りつぶしツールが2つある問題」は可愛いものです。
実はAffinityのメニュー項目については、2019年秋に集中して調査し、修正要望を出しています。
https://forum.affinity.serif.com/index.php?/topic/98295-japanese-menu-name-correction-request/
どうして調査をしたかというと、WindowsとMacでメニュー名が違うことに気づいたんですね。これだとせっかくAffinityを紹介しようと思って本を書こうとしても「※ここはWindowsでは○○という名称です」という注釈が多すぎて、まともなものにならないんですよ。その数の多さはフォーラムへの投稿を見てください。中には英語インターフェイスであってもWindowsとMacでメニュー名が違うものもあります。どういう開発をしてるんでしょう。
これを調べるために、WindowsとMacを見比べて、さらに片方を英語のインターフェイスに切り替えて原文と確認して、ということを延々とやっていました。それで少しずつAffinityフォーラムに投稿したんです(我ながらよく頑張ったと思います)。もちろん修正された項目もありますが、いまだに修正されていない項目もあります。
私のMacは2011年製と古く、どこかおかしくなっているようで、インストール済みの旧バージョンのAffinityは起動しません。そのため統合されたAffinityをインストールすることも諦めたので、今もWindowsとMacでメニュー名が異なるところが残っているのかは、調べる手段を持ちません。
もうひとつ注意していただきたいのは、私が調べたのはあくまでも「メニュー項目」なので、エラーメッセージなど、ダイアログウィンドウで表示される内容は調べていないということです(そもそも狙って出せるものではない)。
Affinityが期待されながら伸びないのは、その半分は誤訳にあると思っています(残りは日本語や日本向け機能の不足など)。目的の機能が見つけられないというユーザーの直接的な不便だけでなく、「いつかは修正されなければならない」誤訳のせいで、今の状態で解説本を出版することは誰もが(私と同じように)ためらうと思います。賞味期限半年の本なんていらないですからね。
さて本題。11月7日に3.0.1アップデートが出ました。修正内容は次の通りです。
For all users
- "Save as Package" now works correctly with restricted fonts
- "Export to Canva" now completes more reliably (instead of displaying temporary file errors)
- Controls in the Develop Studio now initialize and function correctly
For Mac users
- Ask panel stability improved on macOS Tahoe
For Windows users
- Startup reliability improved when loading thumbnails for the Welcome screen's Learn page
- Startup reliability improved in managed Windows environments
- Templates on the Welcome screen now open correctly
このアナウンスは最初にAffinityのDiscordで行われました。それまでなかった「release-notes」というチャンネルが作成され、その中に投稿されました(初期のチャンネル構成は以前の記事に書いています。その後公開されている公式サイトにも追加されました。今後はごちゃごちゃしたDiscordに行かなくても公式サイトで確認できるようです。よかった~
では修正内容を確認していきます。意訳です。
MacとWindows共通
- 「パッケージとして保存」が許可されていないフォントに対して正しく動作するようになった
- 「Canvaをエクスポート」(書き出しのCanvaデザイン)でのエラーが減少した(一時ファイルエラーを解消)
※SNSに投稿されたのを見ましたが今探しても見つかりません - 「Develop」スタジオのコントロール(ウィジェット)が正しく初期化され、機能するようになった
※このスタジオは私のところでは確認できません。一部のユーザー向けと思われます現像スタジオのことでした。
Macのみ
- 「尋ねる」パネルのMacOS Tahoeでの安定性が向上した
Windowsのみ
- 「ようこそ」画面の「学習」でサムネールの読み込みが安定した
- 起動直後にクラッシュする問題に対応した
※報告多数あり - ようこそ」画面の「自分のテンプレート」でどれを選んでも最初のものが開かれる問題の修正
※https://x.com/mamme469103/status/1985851161937932382
修正内容は以上です。AffinityはAdobeと違って細かいところまで教えてくれるので、ここは非常にありがたいです。いろいろ文句もありますが、この姿勢に変化がなかったことがとてもうれしいです。
さて、3.0.1のアップデート方法ですが、最初にインストールしたときと同じページに行って、同じファイルをダウンロードします。バージョン2.6.5まではインストーラのファイル名にバージョン番号があってわかりやすかったのですが、今回は全く同じファイル名なので本当に3.0.1なの?と不安になります。
WindowsのMSI/EXEインストーラの場合、ファイルサイズも全く同じなので余計に不安になります。ただ、ファイルのプロパティを見るとバージョンが違うことが分かります。
また、インストーラを起動した画面でもわかります。
3.0.1を実行してれば次の画面になります。
ところが3.0.0の場合はこうなります。
修正のアナウンスは英語で行われますから、日本語で使用している場合、これを翻訳しなければなりません。ここで先に書いた誤訳の問題が立ちはだかります。
今回は「Ask」パネルは日本語UIではどこなのだろう、ということになりますね。過去のことがあるので、もう心配でなりません。私はもうMacでは確認できませんので、Xでお願いしました。
Macでも「尋ねる」のようですね。3.0.1です。 pic.twitter.com/WfbkgzCruP
— 中村伸ニ (@sznakamura) November 9, 2025
MacもWindowsも「尋ねる」ということで安心しました。
ところでこの画像、よく見るとおかしいことに気づきませんか?
ウィンドウメニューの[パネル]までは英語と日本語で並びは同じです。しかしその下、英語の方はアルファベット順に並んでいるのに対し、日本語では別の並びです。
しかも文字コード順かと思いきやそうでもない(「ベ」のあとに「ヘ」が来ている)。謎の並び方になっています。濁点・半濁点を無視したいわゆる「辞書順」かもしれません。
この状態は、ウィンドウメニューのこのエリアだけのようですが、これはDesigner 2でも同じでしたので、ずっと以前からそうだったんでしょう。私はAffinityのフォーラムで、3製品でメニューの順番が異なることを指摘して修正するよう依頼していました。そのトピックを見ればバージョン1.7時代のメニューを確認できると思ったんですが、見つかりませんでした。私のプロフィールから辿ろうとしても1ページ分しか表示されないんですよね。
過去の経緯は別にいいとして、言語ごとにメニューの順番が違うというのは、その言語だけ扱っている人はいいですが、言語間で情報を交換する場合困るんですけど。たとえば英語UIの人が日本語UIの人に使い方を教えてて、「そこはメニューの上から3番目だよ」って言っても正しく伝わらないですからね。
こういうの(誤訳も含めて)Canva的にはどうなんですかね。面白い記事をCanva Villageで教えてもらいました。
細部に宿るフォントデザインのこだわりとは―Canvaで使える「モトヤフォント」の魅力(1)
この中で次のようにあります。
Canvaでは「シン・地元主義」という戦略を掲げ、各国のユーザーに合わせた製品ローカライズにかなり力を入れているんです。本社はオーストラリアにある企業で、日本に進出した当初はUIに不自然な日本語が混じっていたり、英語のテンプレートばかりだったりしました。
今のAffinityは当時のCanvaと全く同じ状況です。UIもそうだし、デフォルトのCMYKプロファイルが「U.S. Web Coated (SWOP) v2」だったりします。これをきちんとローカライズすることがCanva Japanの役割だと思いませんか?
今回もさんざん文句を言っていますが、Affinityは大好きです。そうでないと、2019年6月からずっと使い続けていませんよ。もっと使い勝手もよいアプリケーションになってほしいと願っているだけです。今は、スクリプト機能に期待しています。ある程度自動化ができるということは、省力化にもなるし、誤訳メニューに惑わされることも減るかもしれません(笑)
あと、Canvaとの連携に関して、次の要望も出しました(画像でごめんなさい)。期待してます!
おまけ。
Canvaとモトヤさんが仲がいいというのは記事で初めて知りました。モトヤといえばフォントしか思いつかない人(あと求人事業)がいるかもしれませんが、私の世代ではElWINという組版ソフトを思い浮かべる人も多いと思います。残念ながらInDesignに駆逐されてしまいましたが。
Affinityは縦組やルビなど日本語(日中韓)の機能がなく、日本語ユーザーから切望されていることはご承知だと思います。Affinity内部では一生懸命取り組んでいるのかもしれませんが、ひょっとしたらELWINの組版エンジンを取り入れたほうが早いんじゃない? と思って調べましたら、まだ現役で使っているところがあるようです。しかも、ELWINはJ-PowerのOEMなのでモトヤでは開発してなかったorz
https://akitatsublog.fc2.net/blog-entry-1.html
https://www.hokuto-p.co.jp/factory/dtp/index.html
まあダメ元で書くだけ書いておきます。関係者が見つけてその気になってくれるかもしれないし。
2026年1月22日 追記
「Develop」スタジオは「現像」スタジオのことでした。普段「Develop=開発」の情報しか集めていないので勘違いしてました。
「現像」「ゆがみ」「トーンマップ」のスタジオはツールバーのリストには出てきません。ピクセルレイヤーを選択した際にコンテキストツールバーに表示されます。そのため、私の頭の中でのスタジオ一覧から抜けていました。





