Illustrator 29.2はAffinityにどれだけ近づいたのか(1/2)ヘルプバー編
今回と次回の2回に分けてIllustrator 29.2.1の「新機能」を2つ紹介します。次回は「距離ガイド編」です。
わざわざ「新機能」としたのには意味があって、Illustratorオンリーのユーザーにとっては新機能であっても、私にとっては「Affinityのパクリ機能」だからですね。ですからタイトルも「どこまで近づいたのか」ということです。さて本家を超える機能になっているのでしょうか。見ていきましょう。
ヘルプバーは最初、29.0で搭載される予定でした。
しかし搭載は見送られ、29.0の新機能ページからも削除されています。そして29.1の新機能ページに掲載されましたが、ここでも実装されず、結局29.2.1で搭載となった機能です。
なお、新機能ページの画像はフローティングバーのように描かれていますが、実際はドキュメントウィンドウ下部に固定です。
これは何も選択されていない状態ですが、同じ状態でAffinityでは次のようになります。
Affinityでは製品発売時からこうなので、誰も文句は言いません。むしろ私にとっては非常にありがたい機能です。選択したカーブ(Illustratorで言うパス)の上にノードツール(Illustratorで言うダイレクト選択ツール)を重ねた場合、その位置によって挙動の違いを教えてくれるからです。
ノード(Illustratorで言うセグメント)上にあった場合はこうなります(キャプチャ時にカーソルの大きさが変わってしまったので本来の位置から少し左上にずれています)。
カーソルの位置がノード上から外れるとこうなります。
同じことをIllustratorでやってみます(Illustratorではペンツールがこの役割になります)。
カーソルがセグメント上にある場合(アンカーポイントを追加)
カーソルがセグメント上から外れた場合(ペン)
ところがこの機能、ユーザーの一部からは不満が上がっています。
画面下部の「選択するオブジェクトをクリック」を非表示にする方法
Illustratorの下部分に表示される説明を非表示にしたいです
これはマウスカーソルの移動によって表示されるヒントが変わるので、文字がちらちらして集中できないということのようです。Affinityの方は非表示にはできないのですが、Illustratorは非表示にできるので、そこはIllustratorに分があるのかな。
ただ、触っているうちにIllustratorの方が余計にうっとおしく感じるということがわかりました。それはカーソルがカンバス外に出たときです。
カーソルがカンバスから外れた場合(ダイレクト選択)
このように、ルーラー上やパネル上にある場合は「ダイレクト選択」状態になり、ヘルプ内容もダイレクト選択ツールのものに変わってしまいます。Affinityではこの挙動はありません。Affinityの場合、カーソルがカンバス外に出てもそこでヒント内容が変更されるということはありません(カンバス外に出るという挙動は無視される)。
この、カンバスに入った、出たというタイミングでツールの状態を変更することが、Illustratorの方が余計にうっとおしく感じる理由の1つでしょう(他にも要因があるかもしれません)。ご存知の通り、Illustratorはカンバスとツールバーやコントロールバー、各種パネルを行ったり来たりして操作するものですから、慣れた人ほど(キーボードショートカットの達人は除く)文字がちらちらして不快に感じるわけです。
なので非表示にしたい気持ちもよくわかるのですが、私としては一度すべてのツールのヘルプを確認することをお勧めします。これ知らなかった、ということがあるかもしれないからです。あとで私の知らなかった(忘れていた)ことを例示しますので、同程度の方は特にお勧めします。なお、中にはヘルプがないものもあります(「エリア内文字(縦)ツール」「アートボードツール」など)。ないものは次のように表示されます。
こういうのがある以上、Affinityと比較するには時期尚早なのかも知れません。
私の知らなかった(忘れていた)ツールの機能
ペンツール
ブラシツール
消しゴムツール
メッシュツール
ドラッグ&ドロップは知らなかった。
拡大・縮小ツール???
ピボットポイント(Pivot Point)なんて初めて聞いたぞ。日本語ユーザーガイドでは「基準点」、英語ユーザーガイドでは「reference point」なんだけどな。
全部は見てないんだけど、おかしな表記(アドビ語など)もまだまだあるかも知れないので、気を付けてくださいね。
あと、ヘルプを書いて、これが何のツールのヘルプか当てるクイズを出そうかと思ったんだけど、ブログ上でやってもね。やっぱり勉強会みたいに人が集まってやる方が楽しいよね、ということでボツ!