●だったり■だったりをAffinity Designerでやってみた
前の記事をAffinity Suite(Photo / Designer / Publisher)でやるとどうなるか、という話です。先に前の記事を読んでからこちらを読んでください。
作成する前に、前の記事で作ったPDFファイルはAffinity Suiteでどう解釈されるかという確認をしていきます。
Affinity SuiteでPDFファイルを配置する際は、PDFを解析するかどうかという選択肢があります。それが「PDFパススルー」という項目で、「パススルー」と「解釈」という2つの選択肢があります。
パススルー:PDFファイルをそのまま扱う。PDFの変更・修正・加工はできない。
解釈:PDFファイルを解析し、Affinity内で変更可能な形に変換する。変更・修正・加工が可能になる。
通常はパススルーを使用します。というのも日本語テキストを含んだPDFをAffinityでの解釈した場合に、体裁が崩れたり文字化けする可能性があるためです。ただこれはバージョンアップにより改善していくので、そのうち問題にならなくなるかも知れません。
まず、「パススルー」で配置(埋め込み)します(たしかデフォルトがパススルーだった気がしますが気のせいかも)
このように■で表示されました。つまり、意図通り表示できていないということです。
これをツールバーから「解釈」に変更します。
すると●に変わりました。つまり、Affinityでの解析は意図通りの形になることが分かります。縦組のテキストがおかしくなるのは、Affinityがまだ縦組に対応できていないためなので仕方がないです。
ここで配置したPDF画像をダブルクリックして、編集モードに入ります。
マスクがラスタライズされていることがわかります。このラスタライズはIllustratorでPDFを作成したときに行われたのか、Affinityで解析した際に行われたものか調査する必要がありますが、時間がかかるので一旦ここまで。
ではAffinity Designer 2でこの図形を作ってみます。バージョンは2.3.1です。ドキュメント設定は次の通り。
まず正方形を作成します。塗りは適当、線はなし。
アピアランスパネルの①「塗りつぶしを追加」をクリック、②描画モードを「消去」にします。
ツールバーから塗りつぶしを①グラデーション、②タイプを楕円形にし、③左端の分岐点をクリックして④不透明度を0%にします。
ここで[コピー]をクリックすると、選択中の分岐点(③のところ)がコピーされて中間位置に分岐点が作成されます(選択された状態)。そのまま位置のところに99と入力します。
以上で作成できました。
これをPDFにエクスポートします。ラスタライズは「なし」です。
エクスポートしたPDFファイルをドキュメントに配置します。
だめだめですね。「パススルー」でも「解析」でも同じ結果です。
じつはこのPDF、前回の記事で挙げたFoxit PDF ReaderやMicrosoft Edgeのみならず、Acrobatにおいても■で表示されてしまいます。唯一瞬簡PDFだけは次の表示になります。
なぜこうなのかというと、配置したPDFを編集モードにするとわかります。
マスクが作成されていないんですね。白の長方形になっている。ただこれはAffinityで解析した結果なので、PDF状態ではどのようになっているのかはわかりません。白の長方形だと瞬簡PDFでの結果を説明できませんから。
なお、AffinityのPDF書き出し機能はSerif自前ではなく、PDFlibによるものです。だから苦情を言って即直るというものでもないんですよね。