Affinity Publisherで日本語処理(3)行頭括弧類の文字幅

2019年07月26日

前回の続きです。下図の青丸は段落の最初にくる括弧類の起し、緑丸は段落の途中だけど行頭に来る括弧類の起しです。各社のルールによってこの場合の文字の左(上)のアキをなくす場合もあります。

絶対的な決まりではありませんが、Affinity Suiteで対応できるので、手順を紹介します。

まずテキストを全選択します。ということは、段落スタイルで設定しておけばスタイルを当てるだけなので非常に楽です。

次に「文字」パネル内の一番下、「視覚的配置」をクリックして表示させます。

これは欧文組版用のもので、日本語組版にない機能ですね。どういう意味かというと、「左」というのは行頭です。「右」というのは行末です。行頭・行末に特定の文字が来た場合に、その位置をずらすという設定で、%は文字幅に対する割合ですね。たとえば「A」という文字が行頭に来たら、20%左に移動しなさいよということです。版面から一部飛び出すんですが、その方が揃って見えるということですね。特に顕著なのが引用符で、100%、つまり完全に版面から飛び出てしまうということです。欧文組版ではこれを「ハンギング」というそうです。(『MORISAWA PASSPORT 英中韓組版ルールブック』のダウンロードページ

ここで、「タイプ」を「手動」にします。すると[追加]ボタンが有効になるのでクリックします。

ここで、「左」50%、「右」0%のまま、「文字」は括弧類の起しを入力します。

[{〈《「『【〔〖〘〚〝

エンターキーで入力を確定すると、はい、完了。

なお、字下げ(1行目のインデント)とも併用できます。


ん? これを利用すれば日本語の句読点のぶら下がりもできるんじゃないの? こうやって。

はい、残念でした。結論から言うと「日本語組版のぶら下がり」はできません。

この「視覚的配置(ハンギング)」は版面に収まっているものを強制的に版面の外に出す機能のようです。例でいうと、1行10字詰なので、10文字目が句読点だったら版面の外に出ます。しかしながら、11文字目を次の行から追い込んで版面の外に出すことはできないようです。なお、例題は左揃えなので右側のハンギングは有効になりません。試すのであれば右揃えか均等配置にして、確認してください。

個人的な考えですけど、ぶら下がりは活字時代の省力化のために生まれた気がしてて、コンピュータ時代の組版には不要なものです。見た目も悪いし(行末が揃わない)。もはや校正者のためだけにあるようなもので、そこが自動化されない限り残るんだろうな。

次は和欧間かぁ、めんどくさっ)


8月1日 訂正

例題の中で「文字の囲み罫機能」とありますが、段落背景色機能でした。また、「視覚的配置」で既存の設定は日本語組版には不要なものですので、削除してください。