Affinity Publisherで日本語処理(3)行頭括弧類の文字幅

前回の続きです。下図の青丸は段落の最初にくる括弧類の起し、緑丸は段落の途中だけど行頭に来る括弧類の起しです。各社のルールによってこの場合の文字の左(上)のアキをなくす場合もあります。

絶対的な決まりではありませんが、Affinityで対応できるので、手順を紹介します。

まずテキストを全選択します。ということは、段落スタイルで設定しておけばスタイルを当てるだけなので非常に楽です。

次に「文字」パネル内の一番下「視覚的配置」をクリックして表示させます。

これは欧文組版用のもので、日本語組版にない機能ですね。どういう意味かというと「左」というのは行頭です「右」というのは行末です。行頭・行末に特定の文字が来た場合に、その位置をずらすという設定で、%は文字幅に対する割合ですね。たとえば「A」という文字が行頭に来たら、20%左に移動しなさいよということです。版面から一部飛び出すんですが、その方が揃って見えるということですね。特に顕著なのが引用符で、100%、つまり完全に版面から飛び出てしまうということです。欧文組版ではこれを「ハンギング」というそうです『MORISAWA PASSPORT 英中韓組版ルールブック』のダウンロードページ

ここで「タイプ」を「手動」にします。すると[追加]ボタンが有効になるのでクリックします。

ここで「左」を50%「右」は0%のまま「文字」は括弧類の起しを入力します。

[{〈《「『【〔〖〘〚〝

エンターキーで入力を確定すると、はい、完了。

なお、字下げ(1行目のインデント)とも併用できます。


ん? これを利用すれば日本語の句読点のぶら下がりもできるんじゃないの? こうやって。

はい、残念でした。結論から言うと「日本語組版のぶら下がり」はできません。

この「視覚的配置(ハンギング」は版面に収まっているものを強制的に版面の外に出す機能のようです。例でいうと、1行10字詰なので、10文字目が句読点だったら版面の外に出ます。しかしながら、11文字目を次の行から追い込んで版面の外に出すことはできないようです。なお、例題は左揃えなので右側のハンギングは有効になりません。試すのであれば右揃えか均等配置にして、確認してください。

個人的な考えですけど、ぶら下がりは活字時代の省力化のために生まれた気がしてて、コンピュータ時代の組版には不要なものです。見た目も悪いし(行末が揃わない。もはや校正者のためだけにあるようなもので、そこが自動化されない限り残るんだろうな。

次は和欧間かぁ、めんどくさっ)


8月1日 訂正

例題の中で「文字の囲み罫機能」とありますが、段落背景色機能でした。また「視覚的配置」で既存の設定は日本語組版には不要なものですので、削除してください。

『Affinity Publisherで日本語処理(3)行頭括弧類の文字幅』へのコメント

  1. 名前:ものかの 投稿日:2019/07/26(金) 10:29:38 ID:26d50980f 返信

    ぶら下がりは、活字とかデジタルとか関係なく、日本語組版には必要です。
    日本語組版を成り立たせる工業生産体系そのものが必然として要請するものです。

    • 名前:お~まち 投稿日:2019/07/26(金) 11:11:29 ID:f901776fb 返信

      コメントありがとうございます。
      「伝統」や「文化」ではなく「工業生産体系」と言って頂いたところに我が意を得たりと感じます。現状としては仰る通りなんですが、それを未来永劫に続けてよいのか、というのが私の主旨です。ちょっと端的に言い過ぎました。

      • 名前:ものかの 投稿日:2019/07/31(水) 10:28:11 ID:24f8e12a4 返信

        組版ルールを金属活字時代の旧弊と決めつける風潮は今も根強いものですが、そのほとんどは浅薄であり安易であると考えています。
        その点についてここでも書いたことがあります。
        https://tama-san.com/why-full-width/#comment-17261

  2. 名前:詠み人知らず 投稿日:2019/07/26(金) 17:40:01 ID:58c17a651 返信

    欧文でもカンマやピリオドのぶら下がりはあったような気がするのですが…

    • 名前:お~まち 投稿日:2019/07/26(金) 17:55:51 ID:f901776fb 返信

      最後のキャプチャ画面のリストの3番目がそれに当たりますが、カンマやピリオドを含めてその行に収まる場合にぶら下がりが有効になっています。収まらない場合は直前の単語とともに次の行に追い出されます。
      この辺はソフトウェアの考え方や作り方に依存するので、Affinityソフトウェアの場合はこういう挙動ですとしか言いようがありません。

  3. 名前:詠み人知らず 投稿日:2019/07/28(日) 04:02:38 ID:a70076e1d 返信

    いえ、そういうことでなくて、日本語でのぶら下がりは綺麗なベタ組みのために欧文のぶら下がりを取り入れたのでは?ってことです

    • 名前:お~まち 投稿日:2019/07/28(日) 08:37:06 ID:b7d51bc7d 返信

      そういうことですか。どうでしょうねえ。昔色々調べたんですが組版の歴史自体情報がほとんどなくて(例えば括弧がいつ発生していつ確立したとか、禁則処理やぶら下がりがいつから始まったとか)。私の調べ方が悪いのかもしれませんが(本当は「百万塔陀羅尼」から始めて、最初にぶら下がりが出てくるものを探せばいいんでしょうが)。
      ですので、その理由やきっかけなどは全く知らないです。