Affinity Publisher 2で日本語処理(3)新規ドキュメント
タイトルの「Affinity Publisher 2で日本語処理」とは違って、それ以前に行う内容が続きます。今回は新規ドキュメントダイアログです。
今の私の新規ダイアログはこのようになっています。
デフォルト(インストール直後)の状態とはだいぶ変わっていますが、Affinity Suiteでは新規に作成するための雛型を自分で用意することができます(これをプリセットと言います)。V1からありますが、V2になって使いやすくなりました。
作り方はこうです。
①右下の設定エリアで設定を行う
②左下のプリセットを作成アイコンをクリック
③プリセットを作成するダイアログが出るので、名前を入力しカテゴリを選ぶ
④カテゴリ内の一番下にプリセットができるのでドラッグして好きな位置に移動
ここで作ったプリセットはDesigner / Photoでも新規ダイアログに表示されます! これがAffinityのいいところです。(V2からの機能です)
新規ダイアログでひとつ重要なことがあります。それは
ドキュメントのDPIは、原寸配置する画像のPPIに合わせること
です。
他のページレイアウトアプリケーションとは異なり、Affinity Publisherのドキュメントには解像度(ピクセル密度)があります。これはAffinity Suiteが各アプリケーション間で同じデータを扱うためには必須と思われます。これがあるからこそ、ベクターの図形にピクセルマスクを掛けたりできるんですね。そのため、Affinity Publisherでラスター画像を扱う際は「ピクセル等倍」が基本であり、これを元に拡大縮小率を計算しているという点が他のDTPアプリケーションと大きく異なる点になります。
具体的に挙動を見ていきます。解像度350dpiおよび解像度300dpi(デフォルト)の2つのPublisherのドキュメントを用意します。それぞれに1400×1400ピクセル/解像度350ppiの画像を配置します。配置した直後の状態が次の図です。
350ppiの場合
300ppiの場合
画像のスケールはどちらも100%という表示ですが、配置された大きさが異なります。画像の実際の大きさは、1インチが25.4mmですから1400/350*25.4で101.6mm角ということになります。
解像度350dpiの方の大きさは101.6mmとなっており、これは実際の画像の大きさと同じです。しかし解像度300dpiの方は118.533333…mmになっており、実際の大きさより大きくなります。これは画像配置の基準がピクセル等倍、つまりドキュメント上のピクセルサイズと画像のピクセルサイズが同じになるように配置されるからです。このときの大きさは1400/300*25.4を計算した結果です。
ということは、解像度300dpiでドキュメントを作成した場合、350ppiの画像を配置して実際の大きさにしたい場合は100%ではだめで、300/350の85.71…%にしなければならないということです。これは面倒ですね。日本の印刷において画像の解像度の基本は350ppiですから、印刷業界および関連する事業に携わっている方は、印刷に使用する画像は350ppiで作成していることが多いと思います。そのため、Publisherのドキュメント解像度も350dpiに合わせて置いた方が作業がしやすいのです。
ここでもうひとつ大事なところがあります。このドキュメント解像度、[ドキュメント設定]のところから変更できます。しかし、画像を配置した後では解像度は絶対に変更しないでください。画像の位置がずれたりする場合があります。バージョン2.0.4ではページの中心が固定で、解像度に応じて外側に広がったり内側に縮んだりする感じですね。バージョン1.10.6の場合ずれは確認できませんが、それ以前のバージョンでは画像の大きさが変わってしまうものがありました(どのバージョンか覚えてません)。将来のバージョンでは改善されるでしょうが、まだ危ないので安易な変更は禁物です。