Illustratorの星形がライブシェイプになるらしい

Illustratorのスターツールで作成する星形がライブシェイプになるようです。

元情報はUserVoiceでのユーザーの要望です。そこに開発チームから次のコメントがつけられました。

Hello everyone, we have started working on this and you will soon get to try it out in BETA. will keep you folks posted, cheers !

Google翻訳)

皆さん、こんにちは。私たちはこの機能の開発に着手しており、まもなくベータ版で試していただけるようになる予定です。 皆さんに最新情報をお知らせします。乾杯!


ライブシェイプというと、パスを変更するのではなくパラメータを変更することによって形状を変える機能です。図形を作成後もパラメータの変更で修正できるというものですね。バージョ28.0(2024)では長方形、楕円、多角形、直線がライブシェイプです。ここに星形とスパイラルが追加される可能性が出てきたということになります(要望は星形とスパイラルですが、コメントでどちらもやるとは言っていないので、まだ不確定です)。スパイラルについては別途記事を起すつもりなので、ここでは星形に絞って書きます。

簡単にライブシェイプのこれまでの流れをおさらいします。Illustratorは元々PostScript言語を数式を用いずに記述しようというアプリケーションです。ですから各描画ツールは図形のパスを作成し、作成した図形を変更するためにはパスを変更しなければなりませんでした。そのため、角丸長方形を作成するためには専用の描画ツール(角丸長方形ツール、今でもあります)が必要でした。しかしその後、「角を丸くする」という機能が追加され、角丸長方形ツールの必要性がなくなりました。ただこれは、後から角丸の半径を変更できず、さらに、変形を掛けると角丸部分も変形して正円弧ではなくなってしまうという欠点があります。そのCC無印から(このページからダウンロードする「Illustrator機能一覧(PDF)」による)ライブコーナーという機能が追加されたのがライブシェイプの始まりになります。

ライブシェイプCC2015.2で楕円、多角形、直線でも使用できるようになり現在に至っています。


ライブシェイプでどのようなパラメータが指定できるのかはhamkoさんのブログにあるのでここでは省略します。CC2015.2時点の記事ですが、バージョ28.0(2024)でも項目は変わってません。(多角形の変形パネル内のレイアウトは変わってますね。あと、同じ数値を入れて出来上がる図形が違うんだけど)。

さて、今回ここに星形が加わるということで、どのようなパラメータが追加されるのか想像してみたいと思います。

まず現在のスターツールでのオプションは3つありますが、これは当然パラメータとして搭載されると思います。

これに、多角形にある角の種類と角の半径は確実でしょう。星形なので飛び出た側と内側と別々に設定できるかもしれませんね。

さて、それ以上は何が期待できるでしょう? というのも楕円では扇形を作成できるなど、パラメータの設定次第で形のバリエーションを実現しているからですね。


そのヒントになるのAffinity Designerです。このアプリケーションはライブシェイプ(Affinityでは単にシェイプと言います)をベースとして図形を作成していきます(パスの操作はどちらかというと補助的な位置づけ)。そのため、シェイプのパラメータが非常に豊富です。この製品は最近Appleの新製品発表イベントの常連なので、Adobeとしても無視できないはずです。Illustratorの「ビューの回転」機能2020年10月のバージョ25で実装されましたが、Affinity Designerでは私が触り始め2019年6月には実装済でしたから、Illustratorより進んでいる部分も多くあります。

そんAffinity Designerにも星形シェイプがありパラメータによって制御できます(Affinity PhotoおよAffinity Publisherにも同等の機能があります)。Illustratorとの比較表を作ってみましたが、根本的に設計思想が違うので、あくまでも参考にしかなりません。

  Illustrator Affinity
全体の大きさと形状 第1半径(長さ)で指定。正円に内接する形しか作れない。作成後変形 バウンディングボックス(長さ)で指定。最初から楕円に内接する形を作れる
頂点の数の変更 変更不可。ライブシェイプ時に実装か パラメータで変更可能
内側の角の半径 第2半径(長さ)で指定、変更不可。ライブシェイプ時に実装か 外径に対する%で指定。パラメータで変更可能
外側の角の形状・半径 ライブコーナー 設定不可
内側の角の形状・半径 ライブコーナー 設定不可
外側の角の丸み   曲線エッジオフの場合に半径の大きさを%で指定。図の①
内側の角の丸み   曲線エッジオフの場合に半径の大きさを%で指定。図の②
線の形状変更   曲線エッジオンの場合に2か所で変更可能(%で設定)。図の③

Affinityの星形シェイプのパラメータ変更例

Affinityではさらに似た形状のものとして、二重星形ツール、直角星形ツール、歯車ツール、クラウドツールがあります。

別に数が多ければよいというものではありませんし、それぞれに得手不得手があるのは当たり前なので、どっちが優れているというものではありません。一番いいのは両方使えて状況に応じて使い分けることができることです。お互いにコピペSVG形式でやり取りができるのですから(当然ながらシェイプの機能は失われます)。道具を理解してうまく使っていきましょう。