Adobe Fontsから削除されたフォントを使用していたらどうなるか
Adobeユーザーさんにはおなじみのフォントサービス「Adobe Fonts(旧名称:Adobe Typekit)」。デスクトップアプリケーションやWebフォントとして使用している方も多いと思います。しかし、これが一番効果を発揮するのはiPadではないでしょうか(持ってないのでよく知りませんが)。
そのAdobe Fonts、毎年新しいフォントが追加されますが、同時に削除されるフォントもあります。削除されるのはAdobe以外のメーカーのフォントです。
ご存知の通り、モリサワやフォントワークスといったメーカーは、Adobe Fontsに自社のフォントすべてを提供しているわけではありません。主に定番と言われているフォントで、しかもファミリーのごく一部だけを提供しています。言ってみれば「お試し版」で、気に入ったら自分のところで契約してね、という意図がまるわかりです。一通りの役目を果たしたら、あるいはAdobeとの契約条件などで提供を停止することになります。
では、今使っているフォントが削除されたらどうなるの? ということで試してみました。
今回、削除が確認されたのは次のものです。(画像をクリックするとページが開きます)
発見されたのは5月2日(モリオさんとあさうすさん)ですから、少なくとも1か月以上の猶予があります。ただ、使用ユーザーに直接案内があったのかどうかはわかりません。もし案内がなく、このことを知らなければ、この先のテスト結果と同様になります。
私はこのうち次のフォントを有効化し、それを使用したInDesign 2020のドキュメントを作成しました。
もしドキュメントが必要であればこちらからダウンロードできます。
期限の6月15日の段階(21時頃に確認)では普通に使えています。そして6月16日の7時に確認したところ、このような状態になっています。ここでポイントは「アクセス権限がありません」と表記されているところです。
当然のこと、新しく使うことはできないのですが、有効にしているフォントの一覧を見ると、
一覧から消えています。つまり、無効化(ディアクティベート)できません。また、CCデスクトップアプリケーションを見ると、
となっており、引き続き使える状態です。先のInDesignデータを開いてみても、フォントの警告は出ませんし、Adobe Fontsという情報も生きています。
そしてPDF書き出ししても埋め込まれています。
つまり、私のパソコンでは普通に使える状態になっています。
これが「アクセス権限がありません」の正体ですね。メーカーが提供を停止したからと言って、Adobe Fontsのサーバーからフォントが削除されたわけではありません。有効化した状態は生きています。これがずっとこのままなら、私のパソコンが壊れるまで(Adobe IDがなくなるまで? 6月17日追記②を参照)使えるということです。(でもそのうち削除されるかもしれないので、びくびくしながら使っていくことになります。)
ですから、引き続き使用したいのであれば、画像にあるメールアドレスに連絡して早々に購入しろということですね。さる筋の話ですと、「Adobe Fontsのお客様向け特別オファー」はかなりお得だそうです。
しかし無効化(ディアクティベート)できないのは困ります。私はあくまでもテストのためにアクティベートしたので、終わったらさっさと元の環境に戻したいんですよ。このままでは他のテストをする際に、この状態が余計な影響を与えるということがないわけでもなさそうなとも言いきれないかもしれないという、もやっとした状態ですからね。
ということで無効化できるか、やってみます。
まず、CCデスクトップアプリケーションからAdobe Fontsを無効にする方法。
この手順でAdobe Fontsを無効にします。するとこうなります。
では再度有効にしてみましょう。今度はこの図で、角丸で囲った「Adobe Fontsを使用」をクリックするだけです。
Oh! Nooooooooooo!
元に戻っているではないか。どうもクラウドにあるアカウント情報に保存されている気が。今度はログアウトして再度ログインでどうだ!
やっぱり変わらず、と思いきや何やら変化が。これはもしかするとサーバー上のフォントが削除され始めているのだろうか。そうだとすると徐々に使えないフォントが出てくるのか?(6月17日追記①を参照)
結果まで時間がかかりそうなので、今回はここで終わります。最終的にどうなるんだろうねえ。
6月17日 9:00追記
①私は2台のPC(実作業用とテスト用)を使用していますが、BigMooreにエラーが出ているのはそのうちのテスト用Cだけで、実作業用の方にはエラーは出ていませんでした。(同時使用を避ける運用をしているので発見が遅れました。)ですからこれは当該PC固有の現象と考えられます。
②フォントのアクティベート情報がAdobeIDと結びついてクラウドに保存されているのであれば、新しいパソコンでログインすると、そこでも使用できるはずですよね。勘違いしてました。
6月21日 追記
本日確認したら、当該フォントのアクティベートが解除されていました。
実作業用PCのInDesign(15.0.3)でも見つからないフォントになりました。
ということで、無事解決となりました。
ずっとこのまま使える状態だとフォントの著作権侵害で訴えられちゃうかもしれないところでしたので一安心♡
2024年5月26日 追記
後日談があります。次の記事へどうぞ。