古いバージョンのAcrobat(サブスクリプション版)をインストールする
昨年夏ごろからだったか、古いバージョンのAcrobat(サブスクリプション版、Continuousトラック)をダウンロードできなくなってるのに気づきました。それはどういうことかというと、それまで次の手順でダウンロード・インストールしていました。
まず、「リリースノート」のページに行きます。そこにはFAQが記載されていますが、その下に各アップデータへのリンクがあります。
アップデータのページを開くと次のように表示されています。
青い文字はファイルへのリンクで、クリックするとダウンロードが始まります。表の右端の列が、どのプログラムに対してアップデートを掛けるものか、という適用条件ですね。ここに「DC base (32bit)」とあるのは、「DCバージョンの32bit版のベースプログラムに上書きします」という意味です。ですから、アップデートを実行するためにはベースプログラムをインストールしておく必要があるということです。(なお、古いバージョンではある段階のアップデートを適用した状態でないとインストールできないアップデータもありました)。
そして、以前はリリースノートの表の一番下の行がベースプログラムへのリンクになっていました。永続版では次の図のようにベースプログラムへのリンクがありますが、サブスクリプション版の方はベースプログラムへのリンクが消えてしまっていたんです。
そのため、サブスクリプション版では、古いバージョンのインストールができなくなってしまっていた、ということです。
そもそも、古いバージョンをインストールする必要がない、ということであれば何の問題もないんですが、Acrobatというのはバージョンアップするにつれて劣化するという特異なアプリケーションです。なぜだか分かりませんが、どんどん機能が減っていくんですね。
- 「注釈」→「矢印」で矢印の内側の色指定「塗りつぶしの色」が表示されません
- Acrobat Proでスクロールバーが表示されなくなってしまった
- 「同じウィンドウで新しいタブとして文書を開く」がない
- コマンドラインを利用しての印刷が出来なくなりました
(プリフライト機能も劣化していると聞いたことがありますが確認できていません)
それに新しいバージョンはとにかくトラブルが多いです。Illustratorの比ではありません。年3~4回の頻度で起きてる気がします。それが嫌なので私は2022.001.20117で止めています(これが最良のバージョンかは分かりませんが、ある程度安定したバージョンです)。バージョンアップを止めるのも大変なのですが、今のところなんとか止まってます。
本題の「古いバージョンをインストールする方法」ですがMacの場合は以前から気づいていました。それは「Acrobat のダウンロード | エンタープライズタームまたは VIP ライセンス版」のページから「Mac OS(v10.13)の場合」もしくは「Mac OS(v10.12)の場合」をダウンロードすることです。自分の使っているOSより1つ前のOSのものをダウンロードします。これは、そのOSで利用できる最終バージョンになります。それをインストールして、そこから必要なアップデータを適用します。
ところがWindowsではWindows 7以降はすべて最新のインストーラしかダウンロードできません。悔しいことにアップデートが出るたびに、リンク先のファイルの中身を最新のものに差し替えるんですよね。そのためWindowsでは古いバージョンをインストールできないものと、半分諦めていました。
そこに思わぬところから、古いバージョンのインストール方法が明らかになりました。それが次の文書です。
2024/3 リリース (24.001.20603) にアップデート後、Acrobat がクラッシュする件について
この文書は直近のバージョンでクラッシュするというとんでもない問題ですね。OSは書いてないですが内容からするとWindows限定の話のようです。
ここで重要なのは【対処方法2 : 以前のバージョンをインストール】のところです。すなわち、諦めていた古いバージョンのインストール方法が書かれているんです。図入りで手順が書いてあるので、あとはそちらを見てください。
といいたいところですが、Adobeの文書はよくどこかへ行ってしまうので、ここで簡単におさらいしておきます。実際にインストールしているわけではないので、図はなくて文字だけです。
以下の手順は、Acrobat Pro 32bit版での説明です。64bit版やStandardではファイル名が違うので一つひとつよく確認して行ってください。
まず、Acrobatをアンインストールします。
次に、最新のインストーラを先ほどの「Acrobat のダウンロード | エンタープライズタームまたは VIP ライセンス版」ページからダウンロードします。ダウンロードしたZIPファイルを解凍すると「Adobe Acrobat」というフォルダができます。この中の「AcroPro.msi」がインストーラ本体ですね。そして「AcrobatDCUpd2400120604.msp」(Pro 32bitの場合。2024年3月16日現在)というのがアップデータになります。このまま「setup.exe」を実行しちゃうと最新になってしまうので、まだ実行してはいけません。
続いて冒頭に書いた「リリースノート」のページに行きます。ここから欲しいバージョンのアップデータをダウンロードします。Productが「Acrobat」になっているものです。ここでは仮に「AcrobatDCUpd2200120117.msp」としておきます。
さて、ここからが本番です。「Adobe Acrobat」フォルダの中を変更していきます。まずアップデータをこのフォルダの中に移動します。最新のアップデータの代わりに、ダウンロードしたアップデータを使ってインストールさせようってことです。ダウンロードしたアップデータを移動したら最新のアップデータは不要のはずです、書いてないですが。怖い人は最新のアップデータをフォルダの外に出しておくか、削除しても構わないと思います。
その次にフォルダ内にある「setup.ini」ファイルを書き換えます。書き換えるところは
PATCH=AcrobatDCUpd2400120604.msp
となっている行です(Pro 32bitの場合。2024年3月16日現在)。このファイル名部分をダウンロードしたアップデータのファイル名に書き換えます。ここでの例では
PATCH=AcrobatDCUpd2200120117.msp
となります。書き換えたら上書き保存します。
文書ではこのあと「setup.exe」を管理者として実行と書いてあるんですが、ちょっと待ってください。念のため、ここでインターネット接続を切断してください。気を抜くといつの間にか最新にアップデートされてしまったということになりかねません。文書には書いてないので、そこまで心配する必要があるかという話ですが、今まで散々痛い目に遭った人はわかると思います。そういう奴です。
インターネット接続を切断したら「setup.exe」を管理者として実行してください。インストールが始まります。
インストールが終わったらAcrobatを起動して環境設定の「自動的にアップデートをインストールする」 のチェックを外します。
バージョンを確認したらAcrobatを終了してください。インターネットはまだ切断したままです。
さらに念のため、次の手順を行います。これは私独自の判断です。
タスクマネージャから[スタートアップ]タブを表示します(手順は各自で調べてください)。その中に「Adobe Updater StartUp Utility」があれば無効にします(無関係かもしれませんが、無効でも困りません)。
タスクマネージャの[サービス]タブの下にある[サービス管理ツールを開く]をクリックします。サービス管理ツールが開くので「Adobe Acrobat Update Service」を探し、ダブルクリックします。サービスの状態が「実行中」であれば[停止]ボタンをクリックします。続いて「スタートアップの種類」を「無効」にします。
ここまで済んだらインターネットに接続します。
これで勝手にアップデートされることはないはずです。アップデートを促すダイアログが出るかもしれませんが、そこは頑なに拒否してください。
それでは。