自動組版案件、納品しました
先日、自動組版のお仕事を納品しました。最近自動組版の仕事がかなり少なくなっている中で大変ありがたいことです。
これは自治体の広報誌の「情報ページ」部分になります。顧客(自治体)の各部署からCMSに入力された記事を、広報担当者がまとめてダウンロードしてInDesignで組み上げるものです。自治体さんでは誌面の情報とホームページの情報の作成を1か所で行えるので、今まで二度手間だったものが楽になるというメリットがあります。
私の方では、自治体広報誌の自動組版のノウハウを新たに蓄積でき、仕事の範囲が増えました。今回の主な課題は次のようなものです。
- 自治体作業分(情報ページ本文)と印刷会社作業分(特集ページや情報ページのノンブル・ツメなど)をどう分けるか。また、責任範囲をどうするか
- レイアウトされた本文から、記事を取り出して出稿元への校正用PDFをどう作るか
- レイアウトでは表示しない情報(記事番号、QRコードの元URLなど)をどう埋め込むか
- (最終盤で発覚)低スペックPCでも動作するよう、負荷を低減
他にも細々としたものがありましたが、やはり肝となるものは全体のワークフローの作成です。原稿作成部署、広報担当者、Web担当者、印刷会社、それぞれの役割と情報の流れを整理することが大事です。ただ私の立ち位置はアドバイザー的なものになるので、そこは直接の受注者さん(CMSを構築)がご苦労なさったところでしょう。
技術的には次のようなInDesignのスクリプトを作成して組み合わせました(PCスペックの関係でボツになったものもあります)。
- InDesignファイルを連続配置するスクリプト
- 条件テキストの表示/非表示を切り替えるスクリプト
- 非表示テキストの内容を取り出すスクリプト
- 特定の段落スタイルで始まり、次に同じ段落スタイルの段落が来る直前までを選択するスクリプト
- CJK部首補助や康煕部首の文字を、CJK統合漢字の同じ形の文字に置き換えるスクリプト
- ページ数と行数(レイアウトグリッド上の行数。2行取りとかあるので単純ではない)を数えるスクリプト
- 文字長を計算して長体を掛けるスクリプト
スクリプト以外にも、正規表現スタイルや条件テキスト(改ページ文字や「『段落の開始位置』を『次のフレーム』などに設定した段落」を入れます。表示/非表示でレイアウトが変わります)、プライマリテキストフレームにより自動的にページを増減する機能など、InDesignの機能をフル活用すべく頭をひねった期間でした。
スクリプトは自分で使い回しができるよう、なるべく汎用的な作りをしましたが、それでも個別の環境に依存する部分もあります。これらのスクリプトは公開する予定はありませんので、もし必要だということでしたら是非お問い合わせください。