InDesign 20.2、19.5.3が出ました。20.2はスポイトツールとカラーテーマツールの場所が入れ替わり
3月8日の朝、CC Desktopアプリを確認したらInDesign20.2が来ていました。
実は3月4日の時点で、リリースノートと修正された問題のページが更新されているのを確認しており、近々来るとは思っていました。今回のアップデートに新機能はありません。修正された問題の中から2点ピックアップします。
修正された問題の中で注意すべきは次のものです。
行の先頭にテキストの回り込みオブジェクトがある段落で、「ここまでインデント」の間隔が大きくなりすぎるのを修正しました。
詳しくはリンク先を見ていただきたいのですが、この問題は2023(18.0)から発生しており、20.2で修正されたということになります。ですから、18.0~20.1で作成したドキュメントを20.2で編集しようとすると体裁が崩れるおそれがあります。ただこのバグは、意図しない組版結果になっているものをそのままにしておいたドキュメントということになるので、それほど実害はないと思っています。不安な人は検索と置換で「ここまでインデント」文字(^i)を検索しておきましょう。
また、カラーテーマツールとスポイトツールの場所が入れ替わりました。これはCC2014でカラーテーマツールが導入されて以降、それまでツールバーのスポイトツールが表示されていた場所がカラーテーマツールに代わり、スポイトツールを使用したい場合はツールバー上で切り替える操作が発生していました。
カラーテーマツールを使う頻度よりスポイトツールを使う頻度の方が圧倒的に多いので、これは多くのユーザーから不満が上がっていましたが、長い間放置されてきました。
この問題を軽減するため、ゆうさんがInDesignの起動時にスポイトツールをアクティブにするスクリプトを公開されており、私も愛用していましたが、今回のアップデートから不要になりました。しかし、2024以前ではまだ使っています。スポイトツールを使う人は是非使用してほしいですね。
12日はAdobeの月例のセキュリティ情報公開日ということで、セキュリティ情報が出ています。
Illustratorの2025年3月のセキュリティ情報:28.7.5および289.3で同じ内容のセキュリティ修正が入っています。
InDesignの2025年3月のセキュリティ情報:19.5.3および20.2で同じ内容のセキュリティ修正が入っています。
私は、8日に19.5.2アップデートを適用し、さらに20.2アップデートも適用したんですが、12日に19.5.3アップデートが来たということで、「またすぐアップデートしなきゃならんのか、次まで放っておこうかな」と思ったんです。しかし、次のことがわかりました。
[ID-4259367]Error handling dialog shown while placing some TIFF/EPS files
添付図によると、19.5.2でTIFFプレビューのEPSを読み込もうとすると「Error encounterd while reading TIFF image.(略)」というエラーメッセージが表示される、と。19.5.1に戻したところ問題はなくなった、と。で、その回答に「19.5.3で直しました」というんです。
つまり、19.5.2だけのバグが存在することになったわけです。セキュリティ修正だけのはずだったのになあ。
私の19.5.2は、8日にアップデートしただけで使っていなかったため、このバグに遭遇していません。しかし、バグが存在し、それが修正されている以上、19.5.3にアップデートした方がよいですね。
ということで、次の手順を取ることになります。ファイルの関連付けを最新バージョンにしておくにはこの手順が欠かせないということで、ちょっと面倒なんですけどね。
- 一旦20.2をアンインストールするかダウングレードする
- 19.5.3アップデートを適用する
- 20.2を再インストールもしくはアップデート
- open_the_inddを実行
書き忘れていましたが、したたか企画さんがNoriaというopen_the_inddの上位互換となるアプリケーションを公開されています。私はopen_the_inddのサポートのため、引き続き使わなければなりませんが、Noriaを試してみてそちらの方がよいという方は、どんどんそちらに移行しちゃって構いません。便利な方を使ってより楽にしましょう。
追記
InDesignの次のアップデートはAdobe MAX Londonに合わせてくる可能性があります。そうなれば新機能が入ってきます。ですから20.2が一旦の安定版になることが考えられるので、早めにアップデートしてテストしておくことをお勧めします。
おまけ
ニューキャストの川原さんが「InDesignが終了したらどうなるのか」というブログを書かれました。私の見解とが異なる箇所もあるのですが、是非一読されて今後の在り方について検討されたらよいと思います。
ひとつだけ、重要な視点が抜け落ちているので指摘しておきます。それはIDMLの存在です。IDMLはEPUBの構造の元となったとも思われるファイル形式で、Affinity Publisherでも読み込むことができます(完全対応ではない)。中身はXMLですから実質公開された標準組版データ形式といえます。今後出てくる組版ソフトでIDMLの読み込みができれば、InDesignデータは過去の遺物とはなりません。従って、データ保管時にIDMLも作成しておけば、今後も(完全再現はできないにしろ)使える可能性が残りますので、そこもInDesignの重要な功績だと思います。