InDesign 20.3英語版の新機能
英語版については数式機能のほかに2つの新機能があります。
Apply creative effects to the selected text or shape using text prompts
このうち、生成AI(ベータ)を利用して「選択した図形やテキスト内に画像を作成する機能」はお遊びの範疇なので言及しません。過去の生成AIを利用した機能はRGBのJPEGを生成する(しかも元画像に埋め込まれているプロファイルは破棄される)ので、今回も多分そうでしょう。つまり、印刷用途としては甚だ扱いに困るので、日本語版に実装されても、そのことを確認して「使えませんね」で終わっちゃうものです。
PDFファイルの変換(ベータ)
原題は「Convert PDFs to InDesign Documents (beta)」です。この機能は以前から英語版InDesignベータ版にあった機能ですが、それが正式版に搭載されましたよ、っていう話です。詳しい内容は英語版のユーザーガイドに記載があります(日本語版ユーザーガイドにこの項目はありません)。
進化した点としては、従来はInDesignで作成したPDFファイルのみしか対象でなかったものが、それ以外のアプリケーション(Illustrator, Photoshop, Express, Microsoft Word, Microsoft Excel, Microsoft PowerPoint, Apple Numbers, Canva, etc.)で作成したPDFファイルも対象になったということでしょう。他にも進化した点が書かれていますが割愛します。
これは私が今一番期待している機能ですね。ほとんどの人はInDesignで作成したPDFファイルをInDesignファイルに変換しようとは思いません。
あるとすれば、かなり古い時期の案件の改訂版の作成で、InDesignファイルはなくPDFファイルしか残っていなかった、という状況でしょう。そういう場合でも「RIP済みのPDFが製版部に残っていた」場合では使えませんけどね。
ですから、他アプリケーションの対応というのは次の点で期待が持てます。
- WordやExcelで作成されたと思われるPDFファイルが入稿されてきた。元データ(WordやExcel)をくださいと言っても「ない」と言われた
- 書籍のレイアウトベースのデザインを外部のデザイナーに依頼したがIllustratorで作成してきた。InDesignは使えないという。InDesignドキュメントにそのIllustratorデータを配置して、トレースするような形でテキストフレームを作成していかなければならない
この機能は当面「Limitations and Known issues」に記載されている制限を解消すべく進化するのかもしれませんが、私個人としては「それより先に日本語版に搭載してほしい」という気持ちです。その際縦組は無視していいので。縦組にこだわっているといつまでたっても日本語版に搭載されない気がします。(ここは人によって異なる意見があると思いますので、あくまでも個人的な希望です)
現状のPDFファイルの変換については、1つ大きな問題があります。それはメニューからInDesignファイルを開こうと、ファイル選択ダイアログを出したときの問題です。ファイル選択ダイアログの初期値は「すべての読み込み可能なファイル」になっており、その場合InDesignドキュメントやテンプレート、IDMLなどが選択できます。画像ファイルやテキストファイルなど、InDesignに配置するが直接開くことはできないファイルは表示されません。
ところが、20.3から「PDFファイルの変換」機能が付いたことで、それまでPDFファイルは「すべての読み込み可能なファイル」に含まれていませんでしたが、20.3以降は含まれるようになってしまいました。そのため、うっかりPDFファイルを選択してしまうと時間がかかる変換作業が始まってしまいます。これは非常に困った事態なので、早速「すべての読み込み可能なファイル」をPDFファイルを含むものと含まないものに分けて欲しいという要望があります。
少し気になったので、日本語版InDesignでPDFファイルを開こうとするとどうなるかを確認しました。ファイル選択ダイアログで「すべての読み込み可能なファイル」のところを「すべてのファイル」に変更することで、あらゆるファイルが開く対象となります。
まず画像ファイルを開こうとするとこうなります。

このように、ファイルが開けないというメッセージが出ます。これは今回確認した2023、2024、2025のどのバージョンでも同じです。これをPDFファイルで試してみるとどうなるか、ということですね。
2023(バージョン18.3)では、画像ファイルと同じようにメッセージが出ます。

2025(バージョン20.3.1)でやってみると、なんてことでしょう、何も起こりません! 開きもしないし、メッセージも出ません。頭の中が「???」になってしまいます。
じゃあいつからなんだ、ということで2024(バージョン19.5.3)でもやってみました。何と! 2025と同じく、開きもしないし、メッセージも出ません!
そんな前から布石があったのね。