アンカー付きオブジェクトでセル罫線を隠す
Adobeコミュニティフォーラムで(質問者さんには大変失礼な言い方ですが)お題が出ましたので、その回答をここにも書いておきます。
どんなこだわりなのかわかりませんが、罫線の交点部分を消去せよというものです。昔の活版では罫線の交点に隙間ができてたんですが、それとは違ってますね。

作り方としては、「非常に細い幅や高さの行・列を挿入する」「セルの罫線は使用せず、段落の囲み罫や段落の境界線を使用する」「白のみのグラデーション、および新しく線種を作成してセル罫線に適用」など面白い案が色々出ているので是非このスレッドを見てください。勉強になります。白のオーバープリントは指定できないんだけど、白のみのグラデーションではオーバープリントが可能になるという、バグっぽい挙動を初めて知りました。
ここでは、私が思いついたアンカー付きオブジェクトの例の説明をします。まず用語の説明です。InDesign日本語版の「段枠」とはテキストフレームの(フレーム内余白および段間余白を除く)文字が入る領域の境界のことです(図の赤い点線部分)。バージョン16.2.1より前は「列枠」という用語でした。英語では「Column Edge」なのですが、これに対する適切な印刷用語が見つかりません。1段組だと版面(はんづら)と同じ領域なので版面境界と言ってもいいのですが、段組の場合の1段分の文字領域の境界を何と呼べばいいのか……適切な用語があればプレリリースで提案しますのでコメントください。

アンカー付きオブジェクトは、この段枠を基準にすることができます。一般的な使い方はオブジェクトを文字送り方向に固定するものです。横組ですとX座標が常に固定となります。次の図のようにX座標を固定してY座標はアンカーとともに移動するといった使い方になります。

普通はこういった使い方で、X座標・Y座標の両方とも段枠基準にするということはありません。両方固定する必要があるのは段枠の大きさが変化する(よほど特殊な使い方をしない限りテキストフレームの大きさが変化すると同義です)場合になります。
ところが表のセルの場合は、段枠の大きさが変化するということがあり得ます。セルにおける段枠とは、セルの余白(初期値は0.5mm)を除いた領域となります。セルの大きさは行数が増えたり、修正が入ってセル幅が変化したりします。そのため、X座標・Y座標の両方とも段枠基準にするという技が生きてきます。
今回のお題の回答は、表の罫線の一部をセルの塗りと同じ塗りの長方形で隠すことで、消えたように見せる手法です。


これですと、セルの大きさがどのようになろうが、テキストが左揃え・中央揃え・右揃えに変更されようが、アンカー付きオブジェクトは罫線の上に固定され、常に隠しておくことができます。
まあ、つかうことはあまりないでしょうが、引き出しの中に入れておいて損はないと思います。
日々こういった素早く実行できて修正にも強いデータづくりを考えていますので、自動組版のみならず、一見複雑に見える一般の印刷案件も大好物です。是非ご相談ください。