自動行送りなんて使うな(3)

2010年03月18日

前回、文字の大きさ、書体、1行の長さ(文字数)、組方向、文字間隔の要素が絡まって最適な行間が決まると考えていると言いました。実はこのとき、文字の大きさについては何となくそうだろうと思っただけで、実際には何の裏づけもなかったのです。

が、行間が狭くて読みにくいのは本だけでなくWebでもそうだよね、と「css 行間」「html 行間」を Google で検索しようとしたら「行間を空ける」とサジェスチョンされました。やっぱりそう思っている人は多いのね。そこからいくつか、文字サイズを変えて行間の具合と読みやすさを比較しているものがあったので、あえて私が言及するまでもない。おおよそ文字サイズが小さければ行間を広く取ったほうが読みやすいということです。ちゃんと関係ありました。

次に書体との関係ですが、新ゴのように仮想ボディ目一杯にデザインされている書体と、楷書・教科書体のように仮想ボディから一回り小さくしかデザインできない書体では、数字上は同じ文字サイズであっても、同じ大きさには見えません。当然、楷書・教科書体のほうが、同じ行送りでも行間が広く見えます。

さて、1行の文字数ですが、前回少し触れたように、眼球の動きというのは、字送り方向に反復しながら、少しずつ行送り方向に移動します。1行が長いということは眼球の振れ幅が大きいので疲れます。人によっては首も同時に動かさなければなりません。ですからあまり長くてはいけません。逆に短いほうはというと、今度は禁則処理の問題が大きくなり、これもまた読みにくくなります。

そんなわけで、1行の文字数にも適度な値というのがあります。結論は、長いほうは眼球が疲労を起こさない程度の視野角に収めろ、短いほうは禁則処理のために、行間よりも文字間が広くなってしまうのはまずい。というものですが、禁則処理については長くなるので改めて書きます。

で、1行の文字数と行間との関係はちょっと長くなるので後回し。組方向もこれに関連しているので後回し。先に文字間との関係ですが、特にアキ組の場合に、文字間よりも行間が広くなくちゃいけませんよということを言いたいだけなのでこれでおしまい。

ということで次回へ続きます。次回には具体的な数値を提示できるかな?