InDesignに欲しい!Affinity Publisher機能(3)フレーム先頭での段落前のアキ
私は基本的にはフレームグリッドは使いません。そんな案件がないのも理由にあるんだけど、テキストフレームに比べて極端にユーザーが少ないので、バグが発見されにくい・発見されても報告されない・報告されても直らないという時代が長かったからというのもあります。今はUserVoiceもあり、またプレリリース(ベータテスト)への参加もしやすくなったので、減りつつありますが。
じゃあ、文字物はどうやって作っているかというと、レイアウトグリッド+ベースライングリッド+テキストフレームです。次の図は「イチからわかる! InDesign JavaScript 指南書」の一ページですが、表示用にレイアウトグリッド、実際に揃えるのはベースライングリッドという設定にしています。
なお、環境設定でグリッドの塗りつぶしを行頭から100文字にしていますので、塗りつぶしは表示されません。ついでなんですが、昔1行の長さの最大文字数を調べたことがあります。そのときは52文字でした。縦組みで行送りは全角アキだったんですが非常に読みにくく感じました。これより多いものは見つけていないので、塗りつぶしを52文字以上にしておけば表示されることはないでしょう。
また前置きが長くなってしまいましたが本題です。
テキストフレームで困るのが見出しの設定です。上の図の中見出し「JavaScriptは大文字と小文字は区別する」は段落前のアキ:3.25mm、段落後のアキ:2mmにしていて、ちょうど2行分を取るようにしています。これが、段落と段落の間であれば問題ないんですが、フレームの先頭に来ると困っちゃいます。
このように、段落前のアキが効かなくなるんです。本文はグリッド揃えを設定しているので動かないんですが。
仕方がないので、行送り0の段落スタイルを作って改行を入れています。
これ地味に面倒くさい。
これをAffinity Publisherで再現してみました。テキストをコピー&ペーストすると書式はほぼ持ってこれます。これはInDesignでコピーした時に、InDesign形式に加えてRTF形式とUnicodeテキスト形式もクリップボードに入るんですね。Affinity Publisherではクリップボード中のRTF形式をペーストしています。
Affinity Publisherでは文字枠グリッドはないので、ベースライングリッドを表示しています。ここで中見出し部分の段落パネルの設定ですが、9.2ptとあるのが段落前のアキ、5.6ptとあるのが段落後のアキです。
注目すべきはその下、「前にスペースを使用」の項目です。この項目は、段落前のアキを有効にする場所の制限を行う項目で、デフォルトでは「段落間のみ」になっています。これはInDesignの挙動と同じです。ですから、このままではInDesignと同じように段落がフレームの先頭に来た場合に、段落前のアキが無効になってしまいます。
ここを「常時」にすると常に段落前のアキが有効になります。そのため段落がフレームの先頭に来た場合でも調整が不要です。
便利でしょ。よく考えられています。InDesignにも欲しいですよね。
こういうところを見つけるたび、日本語組版に対応していないのが本当に惜しい。