自動組版の新しい道具、Affinity Publisherのデータ結合(3)

ここではコマ組パターンレイアウトの作成手順を説明します。サンプルは名刺(塗り足しなし)です。

使用するデータは前の記事と同じですので省略します。

ドキュメントのレイアウト(分割設定)

まずひな形となるドキュメントを作成します。コマ組パターンの場合は「データ結合レイアウトツール」を使用します。

これをクリックしてドキュメント上でドラッグすると田の字形のオブジェクトが作られます。デフォルトでは縦2列、横2列で繰り返す、ということになるのですが、繰り返し数その他の設定はコンテキストツールバーで変更します。

塗り足しのない名刺の場合、A4サイズ10面付けられるので、その場合の設定はこうなります。

このあと1枠分に対してレイアウトを行っていきます。

コマ組のレイアウト

さて、1コマ内のレイアウトを行っていくわけですが、ここで注意があります。テキストフレームやピクチャフレームを配置する際、データ結合レイアウトを選択した状態で行います。そうすると、作成したフレームがデータ結合レイアウトの内部フレームとして機能します。選択していないとデータ結合レイアウトの外部オブジェクトになってしまうので、複製されないことになります。

ただ、うっかり外部オブジェクトにしてしまったとしても問題ありません。レイヤーパネルでデータ結合レイアウトの内部に変更できます。

なお、テキストフレーム自体は他のコマに表示されません。テキストを入れると、その部分は他のコマに表示されます。ちょっと心配になりますが大丈夫。

また、次の図のようにコマの領域をはみ出していても問題ありません。コマの領域でクリップされて、はみ出た部分が表示されません。

データソースの指定

データソースの指定はレイアウトを行う前でも後でも構いません。前の記事と同じなので省略します。

フィールドの指定

テキストに関しては、これも前の記事の通りです。ここでは画像の設定を説明します。

画像はフレームを選択した状態で、フィールド名をダブルクリックします。

まあ、それだけなんですが、画像の入れ方もコントロールしたいですよね。色んな大きさの画像がある可能性が高いですから。

ピクチャフレームを右クリックするとコンテキストメニューが表示されます。その中に[フレームのプロパティがあるので、お好みのものを選んでください。

ただ「最大フィットに合わせてスケーリング」が普通ですね。InDesignでいう「フレームに均等に流し込む」です。何かもっといい日本語ないですかね。

それはともかく、これで設定完了です。あとは生成するだけ。

データ結合の実行

省略します。実行結果は次の図。赤い点が見えますが、これは文字溢れがあるよということを示しています。

できあがったドキュメントの構造は、レイヤーパネルを見てください。データ結合レイアウト全体がグループ化されており、その中にそれぞれのコマ組がグループ化されて長方形でクリッピングマスクになっています。ちょっと複雑に見えるかもしれないですが、テキストツールを使う分には関係なく、すぐに修正できます。 


ところでこのデータ結合レイアウトツール、単にリピート機能だけで利用できます。データ結合とは関係ありません。次の図は上が「Ω」を横にリピートしたもの、下は「V」を縦横にリピートしたもので、このままで使えます。PDFに書き出しても問題ありませんでした。面倒くさいので文字しかやりませんでしたが、図形をうまく繰り返すと飾り罫や地紋も作れますね。