InDesign 18.0からサポートされた画像形式を調べていたら
InDesign 18.0(2023)から次の画像形式が新たにサポートされました。(各ファイル形式のリンク先はAdobeのサイトでの説明です。)
まあ、使うことはまずないのですが、スクリプトの確認もあるため、InDesignに配置してみました。そしたら、Windowsの場合に引っかかるケースがあるよっていうことでその時のメモです。
問題となるのはHEIF / HEIC形式のファイルを配置しようとしたとき。環境によっては(というか私の環境ですが)次のエラーメッセージが出ます。
ここで[OK]をクリックすると配置がキャンセルされます。[詳細情報]をクリックすると次のページがブラウザで開きます。
Windows での HEIF または HEIC ファイルの操作
ここに「解決策 : HEIC または HEVC コーデックをインストールする」とあって、別途ソフトウェアをインストールしなければいけないよってことです。これについてはまた後ほど。
その前に、このWindows での HEIF または HEIC ファイルの操作というページ、新機能のページやサポートされるファイル形式のページからのリンクがないので、実際にやってみるまでわからないというところが問題ですね。
Photoshopの場合、ユーザーガイドの中にファイル形式というページがあり、その中で該当のファイル形式だけリンクになっています。
これもわかりにくいんですが、ここから次のページに行きます。書いてある内容はInDesignのものと同じです。
さてそんなHEIC/HEVCですが、Appleが作ってiOSとmacOSに搭載したファイル形式なので、Macでは全然問題ではありません。しかしWindowsには入っていません。そのため先のヘルプ文書では、使いたければ自分でコーデックを入れなきゃいけないということですね。
ちょっと待ったーー! Affinity SuiteはそんなことしなくてもHEIC/HEVCを扱えるよー
実はそうなんです。Windows版のAffinity Photo / Designer / Publisherはコーデックを入れなくてもいいんです。だからWindowsの問題というよりもAdobeの問題なのかも知れません。そこで調べてみると次のブログが見つかりました。
Photoshop CC 2018がリリースされた - 記憶は人なり
このブログの下から1/4ぐらいのところに記述があります。
調べてみると、どうやらHEIFがサポートされたのはmacOS版のPhotoshop CC 2018のみで、Windowsプラットフォームではサポートされていないような書き込みが公式フォーラムで見つかりました。
このフォーラムでAdobe社員による以下の書き込みがあります。HEICのライセンス制約上、macOSが提供する機能を使っているだけと言う旨の主張のようで、だからWindows版ではHEIFはサポートされていないようです。
これについて「何のために金を払っていると思っているんだ」的にブチ切れている一般ユーザや、「HEIFとJPEGの変換ツールだってオンラインに転がってるのにAdobeに出来ないわけないだろ」といった一般ユーザの書き込みも見当たります。が、先の社員氏は以下のように、ライセンス費用の高額さを理由に挙げています。
> The license restrictions on the HEIC format make it expensive.
なお、HEIFのライセンスと言っているのは、正確にはHEVC(H.265)のライセンスの事だと思われます(HEIF自体はISOで標準化もされた単なるコンテナでしかないので)。
引用中の公式フォーラム(現Adobe Support Community)はこちらです。
HEIF / .HEIC File Support in Photoshop?
ということで、つまりはAdobeがライセンス料をけちったことでWindows版は各自で入れなきゃいけないということですな。(似たような話が昨年11月ごろにあったような)
話を先に進めます。じゃあWindowsにコーデックを入れましょう。Windows での HEIF または HEIC ファイルの操作にはこうあります。青い文字の部分はリンクなのでそのままダウンロードページに行きます。
2番目の「HEIF 画像機能拡張(HEIF Image Extensions)」は私のPCに入っていました。削除できないので他の方でも入っているはずです。ですからここは飛ばします。
3番目の「HEVC ビデオ機能拡張(HEIF Video Extensions)」ですが「購入します」と書いてあります。リンク先(英語)には$0.99とあります。Microsoft Storeアプリを開いて検索すると120円と出てきました。有料なのか……なんでだ?
にわかに信じがたいので検索してみると、元々は無料だったんですね。
Windows 10でH.265/HEVC動画を再生できるようにするパッケージ「HEVC Video Extension」
と同時に、無料でインストールできるという記事がたくさん出てきました。みんな考えていることは同じです(笑) それに従って「デバイス製造元からのHEVCビデオ拡張機能」をインストールしました。これで問題なく進められたんですが、これもライセンス料の関係ですかね。
ここまで長い!
InDesign 18.0からサポートされた画像形式を確認したくて、画像ファイルを用意していざ配置しようという段階でこれだけの手間を取らせます。どっちもライセンス料を吹っかけられているのかもしれないけど、それをユーザーに投げないでほしいものです。
やっと本題。
もう疲れたので画像は載せないですが、新しくサポートされた画像形式はきちんとInDesignに配置することができました。そのうちJPEG 2000は、グレースケール画像を配置するとInDesign側で色を付けることができます。HEIC/HEVCとWebPはグレースケールという形式を持っていないんですかね? 軽く試したところでは着色できませんでした。
なお、HEIC/HEVCを配置したInDesignファイルを、「HEVC ビデオ機能拡張」がインストールされていないWindows環境で開くと最初のダイアログが表示されます。
[OK]をクリックすると画像は表示されず、グレーになります。
ですから、ファイルのやり取りが発生するような状況ではこの画像形式は使えません。特に作成者がMacで印刷所/顧客がWindowsという環境はありがちなのでMacユーザーの方は注意してください。
以下はスクリプトを作る方向けの内容です。
新しくサポートされた画像形式に対して、スクリプトではどんな値になっているかを調べました。まずコード。
var doc = app.documents[0]; var ghs = doc.links.everyItem().parent; for (var i = 0; i < ghs.length; i++) { $.writeln(ghs[i].imageTypeName); $.writeln(ghs[i].getElements()[0].constructor.name); $.writeln("------"); }
結果はこうです。
画像形式 | オブジェクト | imageTypeName |
---|---|---|
HEIF | Image | HEIC/HEIF |
HEIC | Image | HEIC/HEIF |
JPEG 2000 | Image | JPEG2000 |
WebP | Image | WEBP |
以下は参考 | ||
EPS | EPS | EPS |
TIFF | Image | TIFF |
PSD | Image | Photoshop |
JPEG | Image | JPEG |
PNG | Image | PNG |
GIF | Image | CompuServe GIF |
ということでEPS以外のラスター画像はすべてImageオブジェクトということになります。
あとついでに調べたGIFなんですが、グレースケールをサポートしていてInDesignで着色できたので(昔調べた気もするが)お知らせしておきます。