InDesign 19.1が出ましたね(新聞組版の単位)
InDesign 19.1が出ました。このバージョンはバグ修正のみで新機能はありません。
リリースノートには「2023年12月リリース」となっており、本来は12月に出るはずだったのが何らかの理由で1月にずれ込んだということになります。理由は知りません。
修正された問題には「バリアブルフォントで太いウェイトを指定しても一番細いウェイトになってしまう」という問題が含まれています。
修正された日本語訳(「Bai」→「倍」、「Mils」→「ミルス」)なんですが、調べてみるとCS5で追加された単位ですね。このとき「Bai(倍)」「Mils(ミルス)」「U」「Pixels(ピクセル)」が追加されています。「Bai(倍)」はどうも新聞組版のものらしいですね。修正が入っていませんが「U」も同様です。熊本日日新聞の記事にあります。「Mils(ミルス)」を検索するとコトバンクの記事に当たりました。ここでは「ミル」となっており、「針金の直径などを測るのに使用」とあって印刷との関係は書いてないです(大きさはInDesignの実装と合っている)。しかし、次に見つけた「千都フォント|用語解説・タイポグラフィの世界 書体編」の「新聞倍数制」のところに詳しく書いてありました。下に引用するしておきます。つまりこれも新聞組版の用語というわけです。なかなか知らないことが多いです。
現在積み残している大きな問題としては2つあります。
書き出されたPDFファイルがエラーになる
バージョン18.4から発生している問題ですが、いまだ解決には至っていません。この問題が厄介なのは、書き出されたPDFを表示する際には問題がなくて、そこから出力しようとするとトラブルが発生するかもしれないということですよね。だからデータ制作だけやっていると、後工程でトラブルになっているとか気づかないわけです。
Sonomaでオブジェクトやテキストをドラッグで選択しようとすると画面が真っ白になる
これはOS(macOS 14.x Sonoma)側の問題でInDesignの方では何もできないのですが、紆余曲折しています。一度、14.2ベータ4で修正されたのですが、その後のベータRC(リリース候補)版で再発し、製品版14.2も改善されずといった状態。
そもそもAdobeでは「InDesignはSonomaに対応してません」と言ってるんですが、Sonomaで動かしてトラブルになってる人がそれなりにいるので。
open_the_inddを使用している人はアップデート後、ファイルの関連付けを再設定してくださいませ。
1月11日 追記
修正された日本語翻訳について追記しました。
1月12日 追記
千都フォントの用語解説ページがなくなった場合に備えて、ここで引用しておきます。
●新聞倍数制
新聞社だけが使う活字寸法。昭和12(1937)年新聞社は1000分の1インチ(これを1ミルスという)を活字単位とし,紙不足が明らかになってきた昭和17年,それまで正方であった本文活字を扁平活字に変更する。活字サイズが小さくなり読みにくくなったため,それまで本文活字の右に付けていた半角のルビを取り,その2分の1を本文活字の活字表面として使用した。天地を100パーセントとすると左右は125パーセントになる。つまり8対10の平体二である。天地寸法は88ミルス,左右寸法は110ミルスとなる。この天地サイズが新聞活字の基本寸法で扁平1倍という。本文活字が大きくなっているにもかわらず扁平活字を使っている理由はなんだろう。正方だと新聞らしくないということか。本文活字だけが扁平であとはすべて正方活字である。5.5倍は本文活字の天地サイズの5.5倍の大きさであることを示している。ただし基本寸法は拡大された本文活字以前の88ミルスにたいする倍数である。現在では本文活字だけが独立したサイズといえるだろう。