Affinity Publisherで縦組合成フォント(4)OpenType縦組用全角字形

2019年09月19日

前の記事では、タイポグラフィパネルで「代2」を選択したわけですが、これAffinity SuiteがOpenType機能の「縦組用全角字形」(vert)をサポートしていないための措置です。いずれサポートされるでしょうから、そうなると「縦組用全角字形」を指定すればいいんです。

しかしその時がいつになるのか全く未定ですので、それまでは「すべての代替」の中から縦組用全角字形を探さなければならないんですね。これが何番目かというのがメーカー、フォント、文字によって異なるので大変です。多少楽なのは、フォントファミリーが同じであれば、ウェイトによる差はほぼないということぐらいです(それでもウェイトの作られた時期が異なると違う可能性もあります)。


ということで調べました。対象となる文字は、ひらがなとカタカナの小かな、括弧類、全角チルダ、リーダー、ダーシ、飾り罫です。そのうち、全角幅に満たないダーシ(U+2010~U+2013)は省略します。また飾り罫も基本的に文章中で使われることはないので、特例(U+3030、〰)を除いて省略します。まUnicodeに縦組字形が存在しない括弧も外しました。結果、調査対象は

—―〰‥…、。〈〉《》「」『』【】〔〕〖〗〘〙〚〛〝〟()[]{}~
ぁぃぅぇぉっゃゅょゎゕゖァィゥェォッャュョヮヵヶー

です。

秀英アンチック

1 ゕゖ‥
2 ぁぃぅぇぉっゃゅょゎァィゥェォッャュョヮヵヶー―…、。「」『』【】〔〕〝〟
3 —〈〉《》()[]{}~
グリフブラウザから選択 〰〖〗
字形を持っていない 〙〚〛

GL-アンチッPlus

1 ぁぃぅぇぉっゃゅょゎゕゖヮヵヶ—―〰‥…〈〉《》『』【】〔〕〖〗〘〙〚〛〝〟()[]{}~
2 ァィゥェォッャュョー、。「」

 

どっちが楽かというと、それは実際にどの文字が使われているかということなので何とも言えないところです。


やり方は次のようになります。まず、作業前。横組で行送100%にします。フォントGL-アンチッPlusにしています。

検索して置換」パネルを開いて、検索欄に次のように入力します。

[ぁぃぅぇぉっゃゅょゎゕゖヮヵヶ—―〰‥…〈〉《》『』【】〔〕〖〗〘〙〚〛〝〟()[]{}〜]

これは使っていない文字も含まれています。要らないものは削除して構いません。今の例だと

[ぁぃぅぇぉっゃゅょ〰…〝〟~]

でもいいです。検索設定は「正規表現」ですよ。

置換欄は空欄です。フォーマットは次のように設定します。

これで、[検索]ボタンをクリックすると検索結果が表示されます。

すべて置換]をクリックすると、こうなります。

もうひとつ。検索文字列は

[ァィゥェォッャュョー、。「」]

で、置換のフォーマットは

これで[検索]ボタンをクリックすると

となるので[すべて置換]をクリックします。

あとは行送りの調整を手作業で。これがちょっと面倒かな。

ということで、できあがりです。これで問題ない人はここでおしまいです。

ただ、私はちょっと気に入らない。「~」がゴシックだし、このフォントはひらがなのバランスが気に入らないよねー、でも自分でフォントを作るのは大変だし。

ということで、既存の2つのフォントを利用して(いわゆる合成フォントっぽいこと)組んでみることにします。(続く)