InDesignオブジェクトモデルを調べていたら、未公開の新機能があった
InDesignバージョン20.0(2025)のオブジェクトモデルですが、先日行われた「DTPerのスクリプトもくもく会 #41 - オンライン」の時間中に集中して作業を進めておりました。
このバージョンの変更点はほとんどがMathObjectの追加によるものです。MathObject、つまりMathMLを使用した数式の機能です。作成された数式はSVG画像になりますので、従来のSVGオブジェクトにも追加があります。具体的な使用方法についてはTenさんがすでに記事にしておりますので、そちらをご覧ください。
その中でも言及されていますが、本来Rectangleオブジェクトの子としてMathObjectオブジェクトがあるんですが、実はDocumentオブジェクトにもMathObjectのプロパティが存在します。これが有効なのかどうなのかを確認して注釈付きでオブジェクトモデル図を作成するか、怪しげな項目は削除してオブジェクトモデル図を作成するかを思案中です。(実はすでに、記述がおかしいので意図的にオブジェクトモデル図に記載していないプロパティがあります)
それ以外の新機能でオブジェクトモデルに影響するものは、「スプレッドを隠すの機能強化」だけです。生成拡張や画像生成、Adobe Expressへの書き出し、コンテキストタスクバーなどはスクリプトからは操作できないはずです(少なくとも19.5のオブジェクトモデルからの変更はありません)。
スプレッドを隠す
この機能についての変更点は1か所追加だけです。それはDocumentPreferenceオブジェクトのspreadHiddenVisibilityプロパティです。これはページパネル内の下にあるアイコンです。青いポチが付いているのですぐに新機能だとわかります。
ただこれを確認しようとするとバグに遭遇する人も多いでしょう。私も違和感を感じて19.5と比較してみたら、20.0のバグと確信しました。UserVoiceにも既に投稿されているので投票してください。それほど難しい修正ではないと思いますので、数が多いとすぐに直してくれるでしょう。
文字パネル等に「小文字」が追加された
Capitalization列挙にLOWER_CASEプロパティが追加されました。
プロパティ | メニューの用語 |
---|---|
ALL_CAPS | オールキャップス |
CAP_TO_SMALL_CAP | OpenType すべてスモールキャップス |
NORMAL | 標準 |
SMALL_CAPS | スモールキャップス |
(新)LOWER_CASE | ??? |
これがどこで使われているのか探すのが、オブジェクトモデル図作成の重要な点です。単に記述を追加するだけなら全然面白くないですよね。
大文字/小文字関係ですから、段落スタイルや検索・置換の中にもあるはずです。探したらありましたよ。しかもこんなに分かりやすい場所に。
で、なんで新機能から洩れてるんでしょうね~ 多分誰も使わないから?
2025年1月13日 追記
ページパネルの表示の問題は20.0.1で解消されています。