InDesignの表をレイアウトを保ったままIllustratorに配置する

2024年12月14日

実はこれ、2018年10月に気づいてたんですが、今までブログにまとめてなかったんですね。

まあ、吉田印刷所さんのメールマガジンで取り上げてもらってたしAcobeコミュニティフォーラムでも言及してたので、知ってる人も多いと思いますが、あらためてまとめておきます。

この技CC2015以降で使用できます。特2023以降では、InDesignIllustratorへのコピー&ペーストで、テキストしかコピーできなくなった(レイアウト情報が失われる)ので、CCライブラリを経由することでレイアウト情報が保たれるということは知っておいた方がよいでしょう。


手順は次の通りです。

1. InDesignでの操作

表が含まれるテキストフレームを選択し、Ctrl(⌘)キーを押しながCCライブラリパネルにドラッグして登録します(グラフィックとして登録)。登録後は「グラフィッ1」という名称になっているので適宜名称を変更します。

なぜかうまく登録できない場合があるようです。その場合は次の図の手順で登録してください。

2. Illustratorでの操作

CCライブラリパネルからドキュメント上の任意の位置にドラッグします。ドラッグ直後はリンクファイルという扱いになります。このときコントロールバーに[埋め込み][オリジナルを編集]というボタンが表示されています。

  • オリジナルを編集:クリックすると、InDesignが起動し表を編集できるようになります。おすすめ!
  • 埋め込み:InDesignとのリンクが切断され、Illustratorのオブジェクト(図形とポイントテキスト)に変換されます。

 

手順は以上なんですが、Illustrator上のリンクファイルは、元のテキストフレームより若干大きくなります(周囲に余白が入る)。

これが嫌な場合は、InDesignでCCライブラリに登録する際に、別のオブジェクトとグループ化して登録すればよいです。次の図はテキストフレームの背面に長方形を置いてグループ化したものです。


CCライブラリが使えない場合

ただし上記の方法では、CCライブラリが使えない環境では使えません。その場合「PDFを経由する」方法があります。この場合、表としての属性は失われてしまい、パスおよびテキストの集合体になります。

InDesignPDF書き出しをして、それIllustratorで開くのがよいでしょう。

Illustratorのクリップボード問題

実は、Affinity Designer(PhotoやPublisherでも可)を間に挟むことで、コピペ2回で済ますことができるのですが、これには問題があります。

まず、手順は次のようになります。

  1. Affinity Designerを起動し、適当なドキュメントを作成する
  2. InDesignで表のテキストフレームをコピーする
  3. Affinity Designerにペーストする
  4. Affinity Designerに配置、選択された状態なので、そのままコピーする
  5. Illustratorにペーストする

解説です。Affinityでは「特殊な貼り付け」機能を使用することで、クリップボードに格納されているデータ形式を確認することができます。InDesignでコピーされたデータは「ファイルドロップ」つまInDesign形式PDF形式(Portable Document Format)で格納されているということがわかります。

Affinity Designerにペーストする際は、(InDesign形式はサポートしていないので)PDF形式のデータが解析されて、パスおよびテキストの集合体としてペーストされます。この挙動は以前Illustratorの挙動と同じです。

Affinity Designerにペーストされたオブジェクトをコピーすると、クリップボードには次のような情報が格納されます。

図の一番下「Serif Persona Nodes」Affinity用のデータ形式ですね。それ以外SVGやPDF、PNG形式のデータが格納されています。このように複数の形式で格納するのは、他のアプリケーションで使用するときのためです。なるべく多くのアプリケーションで使えるよう、様々な形式でクリップボードに格納します。これをエディタにペーストすると「Unicodeテキスト」が使用され、画像アプリでペーストすると、いくつかある画像形式の中から使える画像形式でペーストされるというわけです。

Illustratorの場合はどうかというと、SVG形式が採用されてしまいます。これが問題の根源です。SVGというのRGB色空間ですから、Affinityでクリップボードに格納する際、CMYK→RGB変換が行われます。ですから、CNYKのIllustratorドキュメントにペーストする際RGB→CMYK変換が行われて、黒4C割れしたり色味が異なるということになってしまいます。

クリップボード内PDF形式があり、Illustratorはそれを解析する能力がありながら、PDF形式を無視するというのIllustrator 2023以降の挙動になります。その前までPDF形式を使用していたのに、非常に残念な仕様変更です(PDFファイルの配置にリンク配置が推奨されたので、バグではないと思います)。


追記:コメントいただきました。ありがとうございます。