InDesignの表をレイアウトを保ったままIllustratorに配置する
実はこれ、2018年10月に気づいてたんですが、今までブログにまとめてなかったんですね。
知らんかった。InDesignの表をテキストフレームごとグラフィックとしてCCライブラリに登録するとIllustratorにリンクとして配置できて、Illustratorで「オリジナルを編集」でInDesignが立ち上がって編集できるのね。
— お~まち@組版仕事ないですか (@CS5_omachi) October 30, 2018
まあ、吉田印刷所さんのメールマガジンで取り上げてもらってたしAcobeコミュニティフォーラムでも言及してたので、知ってる人も多いと思いますが、あらためてまとめておきます。
この技はCC2015以降で使用できます。特に2023以降では、InDesignからIllustratorへのコピー&ペーストで、テキストしかコピーできなくなった(レイアウト情報が失われる)ので、CCライブラリを経由することでレイアウト情報が保たれるということは知っておいた方がよいでしょう。
手順は次の通りです。
1. InDesignでの操作
表が含まれるテキストフレームを選択し、Ctrl(⌘)キーを押しながらCCライブラリパネルにドラッグして登録します(グラフィックとして登録)。登録後は「グラフィック1」という名称になっているので適宜名称を変更します。
なぜかうまく登録できない場合があるようです。その場合は次の図の手順で登録してください。
2. Illustratorでの操作
CCライブラリパネルからドキュメント上の任意の位置にドラッグします。ドラッグ直後はリンクファイルという扱いになります。このときコントロールバーに[埋め込み][オリジナルを編集]というボタンが表示されています。
- オリジナルを編集:クリックすると、InDesignが起動し表を編集できるようになります。おすすめ!
- 埋め込み:InDesignとのリンクが切断され、Illustratorのオブジェクト(図形とポイントテキスト)に変換されます。
手順は以上なんですが、Illustrator上のリンクファイルは、元のテキストフレームより若干大きくなります(周囲に余白が入る)。
これが嫌な場合は、InDesignでCCライブラリに登録する際に、別のオブジェクトとグループ化して登録すればよいです。次の図はテキストフレームの背面に長方形を置いてグループ化したものです。
CCライブラリが使えない場合
ただし上記の方法では、CCライブラリが使えない環境では使えません。その場合「PDFを経由する」方法があります。この場合、表としての属性は失われてしまい、パスおよびテキストの集合体になります。
InDesignからPDF書き出しをして、それをIllustratorで開くのがよいでしょう。
Illustratorのクリップボード問題
実は、Affinity Designer(PhotoやPublisherでも可)を間に挟むことで、コピペ2回で済ますことができるのですが、これには問題があります。
まず、手順は次のようになります。
- Affinity Designerを起動し、適当なドキュメントを作成する
- InDesignで表のテキストフレームをコピーする
- Affinity Designerにペーストする
- Affinity Designerに配置、選択された状態なので、そのままコピーする
- Illustratorにペーストする
解説です。Affinityでは「特殊な貼り付け」機能を使用することで、クリップボードに格納されているデータ形式を確認することができます。InDesignでコピーされたデータは「ファイルドロップ」つまりInDesign形式とPDF形式(Portable Document Format)で格納されているということがわかります。
Affinity Designerにペーストする際は、(InDesign形式はサポートしていないので)PDF形式のデータが解析されて、パスおよびテキストの集合体としてペーストされます。この挙動は以前のIllustratorの挙動と同じです。
Affinity Designerにペーストされたオブジェクトをコピーすると、クリップボードには次のような情報が格納されます。
図の一番下「Serif Persona Nodes」がAffinity用のデータ形式ですね。それ以外にSVGやPDF、PNG形式のデータが格納されています。このように複数の形式で格納するのは、他のアプリケーションで使用するときのためです。なるべく多くのアプリケーションで使えるよう、様々な形式でクリップボードに格納します。これをエディタにペーストすると「Unicodeテキスト」が使用され、画像アプリでペーストすると、いくつかある画像形式の中から使える画像形式でペーストされるというわけです。
ではIllustratorの場合はどうかというと、SVG形式が採用されてしまいます。これが問題の根源です。SVGというのはRGB色空間ですから、Affinityでクリップボードに格納する際、CMYK→RGB変換が行われます。ですから、CNYKのIllustratorドキュメントにペーストする際はRGB→CMYK変換が行われて、黒が4C割れしたり色味が異なるということになってしまいます。
クリップボード内にPDF形式があり、Illustratorはそれを解析する能力がありながら、PDF形式を無視するというのがIllustrator 2023以降の挙動になります。その前まではPDF形式を使用していたのに、非常に残念な仕様変更です(PDFファイルの配置にリンク配置が推奨されたので、バグではないと思います)。
追記:コメントいただきました。ありがとうございます。