段間罫線のきちっとした説明です
待望の機能でありながら、その挙動についてしっかり解説しているページがないので書いておきます。Adobeのマニュアル「段間罫線の設定」を読んでもよくわからないと思います。
その理由のひとつが
段間罫線(Column Rules)を「列ルール」と誤訳しているから
です。これはInDesignの初期起動時にある新機能の説明の中でも間違ってるみたいです。
また、マニュアル中の「注意:」内の記述が間違っている気がします。鵜呑みにせず、実際に確認してください。
さて設定画面は次の通りです。
「線の長さ」という項目がありますが、ここはマイナス値を入れてテキストフレームの外に段間罫線を引くデザインの時に使うものです。もちろんプラスの値も入れられます。
「垂直方向の位置」はちょっと使いどころがわからない。
「線」のところは、だいたい他の線と変わらないんですが、抜けてるものがあります。それは間隔のカラー(および濃淡とオーバープリント)です。次のバージョン(マイナー?)で入ってくる気もしますが、要望を出しておかないと。
InDesignの段間罫線の特徴は、フレームの設定であるにもかかわらず、罫線の長さは入っているテキストの位置で判断しているということです。
テキストが入っていない場合は、(フレーム内マージンを除く)最大の長さになります。
テキストが入るとテキストの位置に応じて長さが調整されます。
「列を揃える」にチェックを入れた場合
また、テキストフレーム設定の「テキストの配置」とも連動しています。
そういう仕組みのため、テキストの回り込みを設定しているオブジェクトがある場合に、期待する結果になりません。
ですからこのようなレイアウトを多用することになりそう。ここにあるように。
テキストの回り込みが発生した場合、テキストの回り込みの境界線の内側にある罫線は描画されません。
ただ、この挙動は不安定な感じです。テキストの回り込みのあるオブジェクトをいろいろ移動してみました。テキストの回り込みが発生しておらず段間罫線だけが回り込みの境界線の内側にある場合に、段間罫線が表示されたり表示されなかったりしました。危険なので、段間罫線を消去するだけの目的でテキストの回り込みは使わない方がよいと思います。また、PDF出力で問題がないことを確認していますが、実際の出力で一度確認しておいた方がよいでしょう。
11月13日 追記
段抜きの場合について記載するのを忘れてました。このように段抜きの部分は罫線が引かれません。
InDesignの段間罫線は、単に段の間に罫線を引くのではなく、現場でありがちな要望に応えたものになっていると思います。フレーム中の文字位置を計算して罫線を引くという複雑なことをやっているにもかかわらず、動きは(私が想像していたより)滑らかでストレスは感じません。新しい機能なので、もしかしてどこかにバグが潜んでいる可能性はありますが、完成度は非常に高いです。是非お試しあれ。
11月10日 追記
現状、テキストの量にかかわらず段間罫線をフレームいっぱいに引く(つまり、テキストがない状態と同じ)機能はありません。対処方法としては
- 全てのページに段間罫線を引きたい場合はマスターページで線を描画する
- 大きさが変わる可能性があるテキストフレームの場合は、テキストフレームと描画した線をグループ化しておく(グループの大きさを変えることでテキストフレームと線の両方の大きさが変わります)
- 空のテキストフレームと重ねる
などがあります。
この問題については、段間罫線のオプションに追加するよう、UserVoiceに要望を出してありますので、賛同される方はVote(投票)をお願いします。