Photoshop 23.0と22.5.2についての私的メモ

2021年11月03日

公式文書はこちら。
新機能
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/using/whats-new/2022.html
Adobeブログの記事
https://blog.adobe.com/jp/publish/2021/10/26/cc-photo-photoshop-ships-major-updates-across-desktop-ipad-apps-extends-light-editing-collaboration-features-web-beta.html
修正された問題(英語版)
https://helpx.adobe.com/photoshop/kb/fixed-issues.html 日本語版11月3日現在で更新されていません。
セキュリティの修正
https://helpx.adobe.com/security/products/photoshop/apsb21-109.html セキュリティの修正22.5.2でも提供されます。
Photoshop 23.0の必要システム構成
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/system-requirements.html

メモ1 動作環境

必要システム構成で
重要:バージョン 23.x で、プロセッサーとグラフィックカードに関する Photoshop のハードウェア要件が増えました。
とある通り、古いハードウェアはどんどん切り捨てられる傾向は変わっていません。ただ、すぐに買い換えるのも問題です。というのも、最新OSをサポートしていないから。 「最小」(原文:Minimum)と「おすすめ」(原文:Recommended)と書いてあるのは非常に良くないです。ユーザーを混乱させます。私はこう理解します。
  • おすすめ 動作保証できOSなので、この上で動かすことをお勧めします。
  • 最小 おすすめしない(おすすめじゃないから)。だけど動くんじゃないの?
ですからサポートすOSは、
  • Windows Windows 10 64 ビット(バージョン 1909)以降 つまWindows 11にはまだ対応していません。
  • Mac macOS Big Sur(バージョン 11)、macOS Catalina(バージョン 10.15) つまり、macOS 12 Montereyには対応していません。
Adobeさんは今の時期、AdobeMAX対応で忙しいので、Monterey(ベータ版)でのテストはしてないと思います(個人的な予想です)。

メモ2 グラデーション機能

これはやもさん(村上良日、@yamo74)さんから最初の情報をいただきました。 バージョ23.0でグラデーションの補間方法が変更されました。そのため、バージョ22以前とバージョ23ではグラデーションの表現が異なります。 たとえば次のようになります。 ま23.0(2022)を使ってグラデーションを作成します。これは長方形シェイプに効果のグラデーションオーバーレイをかけたものです。 これを「PNGとしてクイック書き出し」します。さらにこのファイル22.5.2(2021)で開き、同様に「PNGとしてクイック書き出し」します。2PNG画像は次のようになります。
23.0(2022) 22.5.2(2021)
一目瞭然ですね。23.0では中間調が以前に比べて薄くなっています。つまり、同じデータでも、開くバージョンによって結果が異なるという、非常にトラブルの原因となりそうな現象です。たとえば、社内で作業環境が異なる場合です。ありがちなのが、現場(DTPや製版)では最新バージョンを使っていて、営業部門や工務部門では古いバージョンを使っているというケースですね。初校は現場で作業したものを出力、最終は直しがなかったからということで工務部門で出力、となると危険です。 しかし、このケースはそれほど多くないでしょう。というのも、これはグラデーションがラスタライズされていない状態で起こります。つまり、グラデーションツールで直接レイヤーに描画したり、グラデーションをラスタライズした場合は、ピクセルの色情報が固定されてしまうため、変化のしようがないからです。 「あとから変更しやすいように」ということで、PSDのまま運用していると嵌ってしまう罠です。 ちなみに、23.0で作成したデータ「2022.psd」と、それ22.5.2で開いて何も変更せずに別名保存したデータ「2021.psd」InDesignに配置するとこうなります。そのまま再現されていることが分かります。

1月12日 追記

補足があります。次の記事を見てください。

メモ3 統合テキストエンジン

詳しい説明は「アジア言語スクリプト用統合テキストエンジン」にあります。注目すべきは次の部分。
注意: アドビアプリケーションのテキスト機能は、各アプリケーションが異なるテキストエンジンを利用している可能性があるため、必ずしも機能の均衡が取れているとは限りません。また、テキスト機能は、アプリケーションの主な使用状況(画像の編集、ページレイアウト、イラストレーションなど)によって変わる可能性があるため、適用するテキスト処理に応じて、アプリケーション間で書式設定、スタイル、編集可能性の保持状態が異なる場合があります。 現在すべてのアドビ製品で、東南アジア(SEA)の言語またはスクリプトがサポートされているわけではありません。現在 SEA スクリプトをサポートしているアドビアプリから、SEA スクリプトをサポートしていないアプリケーションに SEA テキストを移動すると、テキストのコピーと書式設定の編集の一部または全部が失われる可能性があります。この場合、次の点に注意してください。
  • Photoshop から他のアプリケーションに移動する前に、画像ファイルの統合が必要になる場合があります。
  • Adobe Illustrator のテキストファイルは、他のアプリケーションで使用する前にアウトラインへの変換が必要になる場合があります。
  • テキスト変換を行うと、あるアプリケーションから別のアプリケーションに移動した場合に、編集可能性が失われることがあります。
要するに他のアプリケーションと互換性がないので文字組は崩れますよ、ということですね。以前は(といっても、いつのことか忘れてしまいましたが)PhotoshopとIllustratorの組版エンジンは共通という話を聞いたことがありますが(ですか2021でも共通なのかどうかは知りません)、2022では完全に別物です。私PhotoshopとIllustrator間でのテキストのやり取りをしないのでどのような実害があるのかはわかりません。

メモ4 Windowsでの日本語入力の問題

これはまだAdobeコミュニティフォーラム内で調査中です。私も混乱していたのですが、どうも問題が2つあるようです。 ひとつは、23.0において入力した文字が表示されないということです。これは一部PCに限られています(私のところでは発生していません)。以前のバージョン(おそら22.5.2)に戻したら直ったとのことなので特定の何かがあるんだろうと思います。 もうひとつ23.0と22.5.2に共通して発生している問題です。22.5.1以前のバージョンに比べて、日本語入力・変換にタイムラグがある(もっさりしている)ことです。特に入力し始めの反応が悪く、少し入力を進めるとだんだん入力スピードに追い付いてくる感じです。 アルファベット入力では全くタイムラグを感じないことから、IMEとの相性問題が疑われます。23.0と22.5.2に共通して発生しているというのもミソで、この2つのバージョンに共通しているのは、同じセキュリティ修正が入っていることです。 ただこの現象は作業性を確実に落とすということでもないため(エディタ等で入力したものをコピペすればよい)、多くの人の声がない限りこのままかもしれません。

1月12日 追記

補足があります。次の記事を見てください。