これはまずい、Photoshopでもバージョンアップで表示が変わる!

Photoshop 2020の新機能紹介では一切触れられていないのですが、内部的に変更があったようです。それが発覚したのがAdobeコミュニティの次の投稿など(原因が同じと思われる投稿が複数あります)です。

Photoshop CC2020とCC2019 で「シェイプの線」と「レイヤー効果:境界線」の表示プライオリティが違う

自分でも同じようなデータ(yabaiyo.psd。ダウンロードできます)を作って確認しましたが[環境設定]―[パフォーマンス]にある「従来の合成エンジン」のA.チェックを入れた状態でファイルを開くのと、B.チェックを外した状態(こちらがデフォルト)でファイルを開く場合とで表示が異なります。AがCC2019と同じ表示で、B.が新しい合成エンジンを使用した状態です。

従来の合成エンジン」のチェックボックスはCC2019でも存在していたので、CC2019でも合成エンジンの変更があったんですが、そのときはそれほど大きな問題にはなっていません。ですから、また合成エンジンを変更したんでしょう。

それでも「従来の合成エンジン」のチェックボックスのデフォルトがオンであればそれほど問題なかったんですが、デフォルトをオフにしたために、以前のバージョンで作成したファイルを開くと表示が変わるという、非常に事故につながりかねない変更になったわけです。


このデータの作り方ですが、こうなっています。

まず20px四方のシェイプを作り、線の設定で外側(ここが重要)に10pxの線を作ります。

続いてレイヤー効果で境界線を設定します。

境界線の位置を「内側」にして、シェイプの線とぴったり重なるようにします。

これだけです。そうすると、「CC2019以前のバージョンではシェイプの線が境界線効果よりも前面に表示され、2020(以降)のバージョンではシェイプの線よりも境界線効果が前面に表示される」データが出来上がります。


このデータは、Affinity Photo、Honeyview(Windows用のフリーの画像ビューア、MacのプレビューアプリやPixelmator(Macについては@Stocker_jpさんより報告をいただきました。ありがとうございます)では、シェイプの線よりも境界線効果が前面、つまりPhotoshop 2020以降と同様の表示になります。

また、このデータをIllustrator 2020、InDesign 2020、InDesign CS6に配置して確認しました。するとやはりPhotoshop 2020以降と同様の表示になります。

つまり、どうもPhotoshopのバグ臭い感じがしてきました。

そこで試しに次のようなデータを作ってみます。

シェイプを40px四方に変更(大きく)して線を内側にしました(データyabaiyo2.psd)。すると(キャプチャ画面ですでにそうなってますが「従来の合成エンジン」の場合でも効果の方が前面に来ました。つまりこれはCC2019以前のバグに違いない、ということです。2020でバグ修正されたわけですが、警告が一切出ないというのが対応を難しくしています。まあ、Adobeにはよくあることですが(実はデザインの効率化を妨げているのはAdobe自身ではないのかという疑惑


この問題、実は印刷分野ではそれほど大きな問題にはなりません。というのも印刷の場合はPhotoshopから直接出力することはまずなく、IllustratorやInDesignに配置して出力します。そのため、作業途中でほぼ間違いなく気づけるものです。また、印刷分野では、InDesignやIllustratorの場合はバージョンが変わると体裁が変わるのがある程度当たり前なので、そのためのチェック体制もできています。

影響が大きいのはWebデザインの方でしょう。InDesignやIllustratorの場合はバージョンが変わると体裁が変わるのがある程度当たり前と書きましたが、Photoshopではそんなことが今までなかったので、誰もが安心しきっていたことでしょう。PSDファイルだけでのやり取りもあるんじゃないかな。Web制作会社などでは、作業環境の統一や外注先・入稿元への指示の徹底など、頭の痛い問題になります。一つの方法として、PSDデータで他人とのやりとりを行う場合は、PDFでの別名保存やJPEG書き出しなど、確実にこの表示が最終であるということを担保できる画像を添付することです。印刷では当たり前のこと(それでもほぼ守られていないので苦労するのですが)ですが、Webの方はそんな習慣がないでしょうから余計に大変だと思います。


ついでですが、Photoshop 2020で気を付けておかなければならないことが、他に2つあります(まだ他にもあるかも知れませんが

1つはPhotoshop 2020の新機能紹介にもあるように、東洋インキの特色(TOYO カラーファインダー)のスウォッチが搭載されなくなりました。でもIllustratorとInDesignには搭載されていますので、Photoshopになくてもそれほど困らない気がします。

もう1つは、今回取り上げたものもそうですが、他にもコミュニティに上がっているトラブルを見ると「ピクセルグリッドに整合しない「JPEG書き出しができない「Web用に保存がおかしい」など、PhotoshopでWebデザインを行っていると思われる人たちの書き込みが多い気がします。

これは想像なんですが、プレリリース段階でもある程度テストしているはずなんですが、そこにはWebデザインの人はいないんじゃないのか、ということです。

そう、今までPhotoshopのプレリリース参加者でWebデザインをしていた人たちは、Adobe XDやほかのツールに移行してしまっていて、Webデザイン用のテストが十分できていないのではないか。Photoshopは写真やレタッチの人たちだけでテストしているのではないか。とすると、現在PhotoshopでWebデザインをしている人たちにとって、Photoshopの今後のバージョンはバグとの戦いになるのではないか、そんな気がします。