近況報告というか妄想というか雑感というか
また、少し間が空いてしまいました。
実は何とか仕事にありつけまして、以前ほど暇ではなくなりました。前職のときと同様な、自動組版+システム管理みたいなことをやっています。
でも身分は依然としてフリーランスです。自動組版やスクリプトの指導だけでなく、DTPの困りごとやパソコン、ネットワーク、データベース、Webのコーディング等も承っておりますので、是非ご利用ください。
さて、今やっているのはoneLinerの修正です。やはりテストしてくれる方がいるとありがたい。自分では気づかないところを教えていただけます。
今公開しているものは、ペーストボード上で実行するとエラーになります。これはスプレッドを取得する際に一旦parentPageを取得しているからで、今はparentPageを外した形に変えたものに変更します。また、コピーしたオブジェクトでは動作しなくなるので、そこも書き換えなければなりません。
専門的な話になりますが、連結していないテキストフレームにあるStoryオブジェクトのlabelプロパティは、テキストフレームをコピーするとコピー先のStoryオブジェクトから消えてしまうという、仕様なのかバグなのかわからないけれど、そんな状況です。
oneLinerは当初有料で、と考えていましたが、あまりに反応がないので、そこはちょっと考えます。
今月に入ってからInDesignとIllustratorのアップデートが来ましたね。わたしはちょうど、パソコンの調子がおかしくなって、再セットアップをしていました。そのため、情報収集が遅れたんですが、open_the_inddをお使いの皆さんは多分再設定が必要だったと思うんですが問題なかったでしょうか。問い合わせや苦情が一切なかったので皆さん特にトラブルにも見舞われなかったのではないかなと思っています。
InDesign(15.0.2)の方はバグ取り中心なので特に問題が発生したという報告はないようですが、Illustrator(Mac:24.1/Win:24.1.1)の方はいろいろトラブルがあるようです。
Illustratorについては、昨年9月あたりからおかしなアップデートが続いていて、非常に残念な思いです。23.0.6までは通常通りだったんですが、Adobe Maxの40日前というタイミングで23.1を出したのを始まりとして、まともな製品になっていないというのが続いています。どうもiPad版Illustratorに手を取られて、デスクトップ版の開発は心ここに非ずという感じですね(見たわけではありません。あくまでも妄想です)。機能追加のタイミングも悪いです。23.1を無理やり出したから、24.0では目玉機能がなくなって、それを補うように24.1でアートボードのコピー&ペーストができるようになって。どうもちぐはぐな感じが否めません。
現時点で一番まずい機能は、「バックグラウンドで保存」「バックグラウンドで書き出し」ですね。iPad版IllustratorでAdobe XDやPhotoshopと同様のことを行うには必須の機能なんですが、デスクトップ版Illustratorは複雑になりすぎていて、コントロールしきれていないんだと思います(わたしの想像です。見たわけではありません)。DTPで使用する場合は必ずオフにしないといけません。
まったく個人的な想像ですけど、DTPユーザーにとって、Illustratorはこの先のバージョンも安心して使えるようになるとは思えません。現在のAdobe CCの方向性として「すべての人に『つくる力』を」とあります。これは、DTPやWebといった特定の業界に依存することから脱却したいという大きな方針があり、その一環としてiPad版Illustratorというものが決まっています。そのためデスクトップ版もそれと互換性を保つ方向に進まざるを得ません。それを実現する大きな機能が「バックグラウンドで保存」であったり「アートボードの独立」ということになるんだろうと思います。次のメジャーバージョンではPhotoshopと同じく、「クラウドドキュメントに保存」が追加されるんだろうと思います。
こういった方向性の中で従来のDTPの機能はどうなるのか、ということを考えると、「新機能は絶対に追加されない」「既存機能のバグはピンポイントでしか直さない(つまり他に影響があるかまで考慮できない)」「クラウドドキュメントと互換性のない機能は最悪切り捨てられる可能性がある」ということになるかと思います。
「クラウドドキュメントと互換性のない機能」とは何か。それは外部ファイルの存在です。Illustratorのデータ中に含まれないものは、クラウドドキュメントとして複数の機器からアクセスすることを考えると、大きな障害になります。これには2つあります。
そのひとつはフォントです。フォントファイルまるごとクラウドドキュメントとして保持するというのは、ライセンスの問題もありますしネットワークの問題もあります。そのための解決策としてはAdobe Fontsを使う方法しかないとないですね。と書きたいところですが、モリサワはすごいですね。それにきちんと対応しましたね。他メーカーも締め出されないためには対応するしかないでしょう。期待してます。
もうひとつはリンクファイルです。先行しているAdobe XDを見てください。リンクファイルというものはありません。画像はすべて埋め込みです。Photoshopも(スマートオブジェクトに当たりますが)すべて埋め込みです。
それはなぜかというと、クラウドドキュメントにした場合、別ファイルであるリンク画像をコントロールするのは非常に難しい。アップロード漏れやPhotoshopで変更された場合の更新の確認、あるいは同時刻にPhotoshopで編集しているという状況も考えられるので(Photoshopの方も自動保存なので、差分だけ随時追加されていく)、ちょっとやそっとで整合性はとれないでしょう。
そのため、クラウドドキュメントに保存するとなった場合、画像は強制的に埋め込みにされると思います。埋め込まれた画像はIllustratorからPhotoshopを起動して編集できますが、それは元の画像データには保存されないと予想します。つまりAdobe XDの現状と同じです。
ということで、Illustratorは今後、画像の扱いに手を入れてくると予想します。すると当然、リンク画像がらみで何かトラブルが発生しそうな気がするんですよ。現時点でもPDFファイルを埋め込んだ時にいくつかの問題があると聞いてますが(ソースが思い出せないので、思い過ごしかもしれない)、それ以外にも発生するかもしれません。
世界的に印刷業界全体が縮小傾向にあり、特に日本ではCS6止まりのところもかなりあって(半数近く? 私の感覚です)AdobeはもうIllustratorを、業界向け高機能ソフトから、お絵かきソフトに路線変更しました。
ですから、DTP用途としてはこれからも不具合が発生していく気がしてなりません。今CC2018、2019を使用している方は壊れるまでその環境を持っておいたほうがよいです。それ以上悪化することはないでしょう。
もし2020を使用していて今後もアップデートせざるを得ない方は、積極的に声を上げて修正を求めていくしかありません。その方法はプレリリースに参加してテストすることです。ただこれもハードルが高くて、テスト用のPCがあること、テストに使用するCCライセンスがあること(テストのくせにライセンスが必要なんですよ)、日本語版については、申請して許可されることが必要です(ただし、現在も募集しているのかどうかはわかりません。2年前だし)。あと、どれだけテストしても報酬はないですからね。その分の蓄えだったり人的・時間的余裕も必要かな。(暇な時期にリリースビルドが出るとテストできるんですが、忙しいと全くできない)
あとは、Adobe Support Communityに参加したり、UserVoiceに投稿や投票を行ったりすることです。UserVoiceは声の数がものをいいます。
しかし、もっとよい方法があります。それはInDesignに移行することです。InDesignは印刷に特化したソフトですから、路線変更というのはありません。また、クラウドドキュメントになるということは非常に考えにくいです。画像の埋め込みは無理でしょうし、文字入力の機会が圧倒的に多いので、ほかのデバイスでは使いにくいですし。
Illustratorはイラストや飾り用途だけで使いましょう。でも、その用途ならAffinity Designerでもいけるかな(特色を使わなければ)。