InDesign 19.4が出ました。PDF出力のバグが直ったらしい
前回の予想通り、Adobe MAX Londonのタイミングでアップデートが出ました。Photoshop 25.7も同時ですね。というか、目玉はAdobe Fireflyになってまして、それがあるなら無理してInDesignのアップデートを出さなくてもよかったんじゃないかという気もしますが。Illustratorのアップデートも出てないことだし。
それはともかく、今回のアップデートの概要です。
リリースノート
ここには修正された問題しかリンクがありませんが、新機能があります。前回もそうでしたが。同じページのバージョンと日付だけ使いまわして中身を精査していないので、この悪い癖は直してほしいです。
なお、前回の記述から洩れていましたが、バージョン18.3からmacOS 14(Sonoma)に対応しています。ただmacOS 14.4、14.4.1ではプリンタ周りのトラブルがあるとかで、コミュニティフォーラムのAcrobatのところでは結構トラブルが報告されています。InDesignでは報告例がないのですが、その環境ではまだ誰も使っていないのかもしれません。
新機能
以前に取り上げた「テキストから画像生成」が新機能として入っています。そのときは「アメリカ合衆国のみ」だったのですが、範囲が少し拡大されて「国際英語版と北米英語版」で使えるようになりました。
2022年11月からベータ版でのみ提供されていたクラウドドキュメントですが、正式版にもベータ機能として搭載されました。しかし、ユーザーガイドによると、現時点では使用できるエリアが限定されており、日本ではまだ使用できません*1。また、使えない機能もある(特にパッケージ機能に対応していない)ので、もうしばらくはベータ機能のままでしょうね。
「公開前にInDesignドキュメントを保存」については「InDesignの勉強部屋」の記事をご覧ください。ここでは、Publish Onlineの分析機能について触れておきます。InDesignの[ファイル]メニューから[Publish Online ダッシュボード]をクリックすると、Webの管理画面が表示されますが、ここに次のような注意書きが出るようになっています。
組み込みの分析はまもなく廃止されます。Google Analytics を統合して、ドキュメントのトラフィックを追跡およびレポートします。
これは19.0が出たときすでにGoogle Analyticsとの連携が実装されていたので、それを一歩進めたという感じですね。
ちなみに、この機能を必要としているのはグラフィック関連業界ではありません。InDesign Serverの最大の顧客層である保険会社や証券会社向けのものだと思います。そういった企業の中には月次レポートなんかをPublish Onlineで発行しているところがあるんでしょうか。このあたりは全然知らないので、全くの勘違いだったらごめんなさい。いずれにせよ企業向けであることは間違いないです。
「EPUB のアクセシビリティ強化」については情報を持っていません。
「InDesign でのユーザー設定の書き出しと読み込み」は19.3と特に変わったところがないように思います。ユーザーガイドの制限事項を見て各自で使えるか判断してください。使用方法は「InDesignの勉強部屋」で。私は特に使う必要がないかなあということで検証してません。
修正された問題
ここで重要なのは「出力」のところにある「PDF アクセシビリティチェッカー 2021 を使用して PDF をチェックしているときに、「予期しないエラー:オブジェクト参照がオブジェクトのインスタンスに設定されていません」が表示される。」です。
リンク先はUserVoiceの投稿になっています。実はこの修正、「InDesignから書き出したPDFがおかしいという問題」を修正したものになります。ということは、以前から散々取り上げてきた「18.4 and 18.5 exported PDF corrupted」と根っこが同じということです。そこが修正されたため、InDesignから書き出したPDFファイルを印刷すると白紙になるという問題も修正されました。
ただ、「18.4 and 18.5 exported PDF corrupted」で直ったよというコメントは現時点(2024/04/27 13:50)で2件なのでもう少しコメントが欲しいところ。また、ダイヤミックのサポート文書もまだ更新されていないので、本当に完全に直ったと断言するのは厳しいかな。もう少しだけ様子を見ます。
UXPの更新
UXPのバージョンが7.4.2になりました。UXPについてはPhotoshopで先行しており、InDesignはその後を追いかけているわけですが、7.4以降で大きな変更があります。
UXP 7.4でWindow.alertが標準で使えなくなる?
このままだとちょっとUXPは使えないよねって感じです。PhotoshopはCEPがサポートされなくなったのでUXPを使うしかないんですが、InDesignの場合は今あるCEPを切り替えるタイミングではないですね。
open_the_inddを使用している人は、19.4にアップデートした際は、関連付けを再適用してください。
*1)5月7日 追記
日本でもクラウドドキュメントが使用できるようになりました。InDesignを起動すると次のメッセージが表示されます。
InDesignを再起動するとクラウドドキュメントが使えるようになります。同時に、[ファイル]メニューに「編集に招待 (Beta)」のメニューが追加されます。
5月9日 追記
やっぱり19.4はAdobe MAX Londonに合わせたリリースでした。公式の文書で言及されているのを見つけました。次のドキュメントの画像中に「Adobe InDesign MAX London release」とあります。